材料力学で多く扱われるような、静的構造物に対しての現象の中では、トルク(ねじり荷重)が静的にかかっている状況というのはなかなかありません。
どちらかというとトルクは、動的な機械に組み込まれている駆動系(モータなど)に対してかかることが多いです。
トルクはしばしばTで表されますが、このトルクを計算する方法はいくつかあります。
そんなトルクの計算方法について、今回はお話ししていきます。
これは、中学・高校で習う「モーメントの計算式」を使ったものです。
軸の半径方向にかかる力をF、半径をrとすると、トルクは以下の式で求めることができます。
[mathjax]
$$T=Fr$$
ボルトをレンチで締め付ける時のような場合に、この式で計算することが多いです。
一方、モータの回転によって発生するトルクは、回転の運動方程式から求める必要があります。
回転の運動方程式は、以下の式で与えられます。
$$T=J\frac{\omega}{\Delta t}$$
ここで、
J:慣性モーメント[kg・m2]、ω:角速度[rad/s]、Δt:加減速時間[s]
を表しております。
回転の運動方程式には、様々な表記方法がありますが、今回ご紹介した式は、モータの始動・停止トルクの計算によく用いられる式です。
まず、慣性モーメントというのは、「回転のしにくさ」や「回転の止まりにくさ」を表しております。
つまり、慣性モーメントが大きい物体というのは、
停止状態から回転させる際に回転しにくかったり、
回転状態から停止させようとしても止まりにくかったりします。
たとえば、自転車を停止状態から漕ぐ際に、タイヤの直径が小さい方が、簡単に加速することができます。
しかし、タイヤの直径が小さい自転車は、停止もしやすいため、常にある程度漕ぎ続けなければすぐに減速してしまいます。
慣性モーメントは、その単位の通り、物体の重量に比例し、物体の回転半径の2乗に比例します。
これは「回転体が1秒間で何ラジアン 回転するか」という数値です。
つまり、回転の速さを表しており、定常運転の時の角速度を代入したりします。
モータの場合は、角速度の代わりに、「回転数」という数値が使われます。
回転数の場合は角速度とは単位が異なります。回転数ではrpm(revolution per minute)という単位を使い、
その意味は「回転体が1分間で何回転するか」です。
rpmからrad/sへ変換するには以下の式を使います。
$$1 rpm = \frac{2\pi}{60} rad/s$$
よって、トルクの計算式に代入すると、以下の式となります。
$$T=J\frac{2\pi}{60}\cdot\frac{n}{\Delta t}$$
n:回転数[rpm]
モータの軸が加速(どんどん回転の速度が増大していく)または減速(どんどん回転の速度が減少していく)するのに要する時間のことです。
たとえ軸の角速度がとても大きかったとしても、その角速度に到達するのにかなり長い時間を要するのであれば、軸にトルクはほとんどかかりません。
一方で、回転中の軸の角速度が小さかったとしても、回転を急停止させた場合、軸に加わるトルクは大きくなります。
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