座金(ワッシャー)を使う時に、いつもばね座金(スプリングワッシャー)を使っている気がするけれど、ばね座金だけで使用しちゃダメなの?
このような疑問を持った人へ、お答えしていきます。
一般的な座金といえば平座金(ワッシャー)ですが、
これと一緒によく使われる部品としてばね座金(スプリングワッシャー)があります。
結論をいうと、基本的にばね座金は、平座金とセットで使用しないとダメです。
私は普段、機械メーカーの設計職として仕事をしておりますが、新入社員の頃に
「ばね座金も『座金』っていう言葉が付いているから平座金と同じような機能を持っているんじゃないの?わざわざ平座金を入れるのって無駄じゃない?」
という風に考えておりました。
しかし、上司に尋ねてみても「いやぁ、今までずっとそういうものとして考えていたから、よくわからんわぁ・・・」といったように、答えが返って来ませんでした。
このように、「そういう風に使うもの」としては認識していたとしても、それが何故なのかと言われるとよくわからないという経験がある方も多いのではないでしょうか。
特に経験が浅い人に質問をされたときなどに、意外と盲点だったと気づくことが多いと思います。
そこで今回は「ばね座金のみ」「ばね座金だけ」の使用がNGである理由についてお答えいたします。
この記事を読んでいただき、後輩からの質問にスマートに回答ができるようにしていきましょう。
ばね座金のみで使用をしてしまうと、大切な母材を損傷させてしまう恐れがあります。
一度損傷した面は、ボルト・ナットが非常に緩みやすくなったり、腐食の原因になってしまいます。
これは以下のような理由からです。
ばね座金は、平座金のように平な形状ではなく、ドーナツ形状の一部がカットされたC形をしているのですが、このC形の角の部分が尖っています。
ばね座金はボルトによって押しつぶされた時にばね力を発揮するのですが、このときばね座金の角の部分が母材へ食い込んでしまうのです。
そのため、ばね座金のみでボルトを締め付けてしまうと、母材が傷まみれになってしまいます。
一般的に使用されているように、平座金の上からばね座金を使用していれば、ばね座金による食い込みを平座金が負担してくれるのです。
実際に寸法を見ればわかりやすいですが、ばね座金の外径は、平座金の外径よりも小さく作られております。
同じ軸力で比べると、軸力がかかっている面積が小さいほど、母材へかかる応力が大きくなりますから、母材のへこみや陥没などが発生しやすくなります。
平座金を使うことで、こうした母材のへこみや陥没を防ぐことができます。
詳しくは以下の記事で解説しておりますので、ご参考にしてください。
先ほどお話ししたとおり、ばね座金のみを使用して、ボルトで母材と締結したとき、ばね座金は母材に食い込んでいます。
そのため、1回こっきりの締結であれば、ばね座金が母材に食い込んでいることによって、ある程度は緩み止め効果を発揮いたします。
ただし、以下のケースは、母材の損傷した部分にボルト・ナットを締め付けることになりますので、ばね座金のみで使用するのはオススメしません。
ばね座金は、緩み止めに効果があるという意見はあります。
しかし、これについては定量的なデータが少ないです。
むしろ、振動試験をしてみると、ばね座金をいれてもボルトが緩んでしまったというデータの方が多いのです。
また、もっと効果的な緩み止めの方法があるので、「平座金を使わず、わざわざばね座金だけを挿入する」ことに意味がないのです。
実際のところ、ばね座金を入れることによる効果は「ボルトの緩みの進行を少し遅らせる」「ボルトの落下止め」「軽負荷の場所の、ボルトの緩み止め」といった程度でしょう。
といった程度でしょう。
今回の内容をまとめると、以下の通りとなります。
平座金を手配したり、取り付けたりするのは、さほど手間ではないので、やはり平座金は入れておくのが無難ですね。
以上となります、ご一読ありがとうございました。
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