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自社で生産した製品に不良品がないかを確認する外観検査工程。
その工程で発生するトラブルといえば、「キズがついた不良品」を見逃してお客さんに納品してしまうことです。
というのも、外観検査の多くは人が目で見て行うので、どうしても検査員による判定のバラつきや見逃しなどが発生してしまうのです。
仮に不良品をお客さんへ納品しまうと、
という事態になってしまいます。
その結果、お客さんとの信頼関係に悪影響を与えるのです。
なので、不良品の見逃しが発覚すると、みなさんが働いている会社としては残業や休日出勤をしてまでも「再発防止措置」「挽回生産」「お客様への事情説明」などの対応をせざるを得なくなります。
急な残業や、せっかくのお休みまで出勤する事になったら嫌ですよね・・・
外観検査は、人間が検査をする以上、100%見逃しを無くすというのは非常に難しいです。
しかし、よくキズが発生するポイントや、意識していないと見逃しやすいポイントを理解しておくことで見逃しのトラブルを激減させることが出来ます。
ここでは品質管理部で検査工程の立ち上げから管理まで携わってきた私が、「よくあるトラブルの原因」と「トラブルが起きない工程づくり」について私の体験事例を踏まえて詳しく解説していきます。
検査対象が複雑で立体的であるほど、見えていない部位が発生します。
なぜなら光の反射でキズが隠れてしまったり、死角になってしまったりするからです。
凹凸や曲面、斜面といった部位は光の反射や影による「見えにくさ」があります。
特に老眼の人はに見にくいようでしたよ
こちらの車のホイールのように大きな物の場合も
するので、見逃しが起こりやすいです。
ホイールだと一般的な軽自動車のサイズ(14インチ)でも6kgほどです。
片手で持ち上げるのはなかなか大変ですよね。
どこにどのようなキズが付きやすいのかを把握するとキズは見つけやすくなります。
製品の生産過程において、キズがつきやすい部位はある程度絞り込むことが出来ます。
例えば
のような箇所はキズがつく可能性が高いです。
目視検査が実施されるワークの色・材質・大きさなどの特性によっては、難易度が高いものがあります。
そのため、
を把握しておくことは非常に重要です。
以下に、目視検査の難易度の高いものと、それに対する対策を表にまとめたので参考にしてみてください。
特性 | 対策 |
---|---|
重い | 持ち上げる為の補助具を使用する 検査台を低くする |
大きい | 区分けを印刷した透明フィルムを使用して一度に検査する範囲を限定し、検査する順番を決める |
光を強く反射する | 部位ごとに検査する角度を決め、その角度が保てる治具(台)を作成・使用する |
透明体 | 画用紙を使用してキズは黒い背景、汚れは白い背景で検査する |
深い穴部 | 穴の中が明るくなるようライトを当てる(マイクロスコープを使用する) |
見逃しの防止は、自分自身で意識して対策するのは非常に重要です。
しかし自分だけではなく、職場や会社全体で対策が強化されていることが非常に重要となります。
そのために重要なのが「手順書の作成」です。
こうすれば検査員ごとの仕事の質がばらつきにくくなります。
さらに、新しい検査員が加入してきたときにも作業を覚えるのが非常にスムーズになります。
私はこれまでいくつかの職場で手順書の作成の仕事もこなしてきましたよー
とはいっても、どうやって作ったらいいの?
という方もいると思いますので、一例として手順書の作り方をお教えします。
という順序で検査員の意見も取り入れて無理なく検査出来る手順書を作成します。
しっかりと全ての検査員が同じ作業が出来るように訓練しましょう。
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