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こんにちは、リヴィです。
私はこれまで5年間、産業機械を中心に機械を設計する仕事をしています。
普段は事務所で開発・設計をしていることが多いのですが、現場に出向くこともしばしばあります。
BtoB向けの受注生産品が多いので、現場の中でも「お客さんの工場」や「ベンダーの製造工場」に行くことが一番多かったです。
ところが、設計者が現場に行くときは、「来週から」とか「明後日から」とか、突然であることが多いです。
普段は事務所で仕事をしている人が、急に現場に行くとなるので、「何を準備しないといけないのか?」「何を持っていけばいいのか?」とあたふたさせられることが、よくあります。
特に年配の人とかは「とりあえず現場行って来い!」とか「来週、現場に行くぞ!」とか言っているイメージがありますねー。自分が若手だったころは、何しに行くのかよくわからなかったので、ガチで手ぶらで行こうとしていました(笑)
そこで今回は「設計者が突然現場に行くことになったときの持ち物リスト」について解説したいと思います。
この記事を、現場に出向いたときに「あっ、〇〇忘れた!」のようなことがないよう、持ち物リストとして活用いただければ幸いです。
目次
相手が初対面の人であろうと、一度会ったことがある人であろうと、名刺は必ず持っていくようにしましょう。
一度会ったことがある人に会いに行く場合でも名刺が必要な理由は、
など様々です。
お客さんから見ると「設計者=プロジェクトの責任者」、つまり何かあった時になんとかしてくれる人という風に見られます。
「お客さん対応といえば営業屋さんの仕事」と思う方もいるかも知れませんが、それはあくまで契約関係の話になったときです。
機械の仕様や品質についてのお客さん対応・責任の対応は、設計者が行うことが多いです。
「え!?そんな責任なんてもてる自信ないよ!」と思う方もいるかも知れませんが、世の中の設計者はそのようなプレッシャーの中で成長していっています(笑)。社内にこもって、純粋に楽しく機械を作りたい!という人は、開発を中心とする部門にいることが多いですねー。
一方、ベンダーさんから見れば「設計者=お客さんの中のお客さん」です。
一般的にベンダーへ見積をとったり、発注したりする仕事をするのが、調達屋さんや資材屋さんなのですが、
彼らはベンダーさんとの契約関係や、値段の高い・安いを判断する業務を主としています。
品質や納期の上で信頼できるかどうか、急な設計変更にもある程度対応できそうかといったような、ものづくりそのものの観点から判断をするのは設計が行うことが多いです。
そのため、ベンダーさんから見れば「お客さんの会社の中のお客さん」といったようになります。
名刺交換は複数人とすることも多いので、余裕をもって20枚ぐらいはもっていきましょう。
「今の時代に名刺なんて古臭いなぁ・・・。スマホの連絡交換みたいなのでいいじゃん!」と思う人もいるかもしれませんが、製造業はまだまだ紙の文化が残っている業界です。名刺を持っていなかったことで発生する機会損失もあるので、出張する際は基本的に持ち歩くようにしておきましょう。
現場というのは要するに工事現場のことですので、怪我をしないような装備が必要です。
主な安全装備は以下の通りです。
出張先の現場の安全基準により、上記のような安全装備を持っていないとそもそも入ることができない場合がありますので、出張前によく調べておきましょう。
よく、現場に行く服装として「スーツで行くべきか、作業着で行くべきか」を迷う人が射ますが、迷ったら作業着で行くようにしましょう。
その理由は、
です。
中には、入社式以来スーツ着てないなぁ・・・という人もいますね!
出張先が大手企業の場合、セキュリティ対策のために身分証明証の提示が求められます。
大手であるほど、セキュリティ対策が施されておりアポがあっても身分証を持っていなければNGということもあります。
また、後述する「出張先の安全教育」を受講するために身分証明証が必要なこともあります。
特に最近は、顔写真付きだったり、公的なものじゃないとNGというところも多いので、保険証や社員証ではなく、免許証やマイナンバーカードを持参するようにしてください。
以前、工事をするためにお客さんの施設に行った時、ベンダーさんが身分証を持っていなかったため施設に入れず、工事が大幅に遅れたということもあります・・・
もし、出張する現場の入構証・安全教育の修了証がある場合は、必ず忘れないようにしましょう。
現場によっては、ヘルメットに貼るシールタイプだったり、パスケースに入るカード形だったり、作業着に付けられるようなワッペン形だったりするのですが、
特に、代わりのヘルメットを持っていくときや、新品の作業着を持っていく際に忘れがちです。
初めて現場に入る人は、現場によっては「安全教育」を受けないと現場に入れません。
安全教育は、事故や怪我を防ぐために、お客さんの現場で決められている規則などについての講習のことを言います。
安全教育はいつでも気軽に受けられるようなものではなく、事前申請が必要な上、曜日や時間が決められていることが多いので注意が必要です。
安全教育は、朝の7時とか7時半とかの早い時間にやっていることが多いです。朝の早起きが苦手な人は、要注意です。
これは持ち物ではないかもしれませんが、それでも必ず控えておく必要があります。
控えておくべき連絡先は、最低限以下のとおりです。
例えば、遅刻や体調不良・怪我があった時、何か頼み事をしないといけない時、急ぎでなにか連絡をしないといけない時などに連絡ができないと、周りの人に大きな迷惑をかけてしまいます。
関係者がスマホなどを使いこなしている場合は、LINEのグループやSlockのチャンネルなどを作っておけばOKですが、個人的な感覚でいうとそのような人は少数派です。
普段の連絡手段は「電話」という人が多いので、連絡先は電話番号で控えておくと確実です。
個人的には、忘れ物のなかで一番多いものですね・・・。
PCを忘れる人は少ないかと思いますが、ただPC本体だけ用意していても不十分です。
というのも
などの準備が必要だったりします。
社内手続きが面倒くさいところだと、設定完了に数日かかったりするので、早めに準備しておくようにしましょう。
また、メールや電子データのダウンロードなどをするためにWifiも忘れずに準備しておきましょう。
Wifiの代わりにテザリング付きのスマホでもいいですが、データ通信量に注意してください。
楽天モバイルで、かつ楽天回線エリア(データ通信無制限の対象エリア)ならばテザリング付きのスマホでも問題ありません。
通信速度が気になる人もいるかと思いますが、どれをとっても光回線よりは劣るので、料金や安定性を重視して選べばよいかと思います。
ちなみに、ホテルやカフェ、公共施設のフリーWifiは、セキュリティが甘いです。会社の機密情報が漏洩するリスクが普通にありますので、使用しないようにしましょう。
ちなみに、いくつかのCADソフトはネットワークに繋がっていない使えない仕様になっていますが、ポケットWifiで図面作成をするには無理があるので、諦めて事務所にいる人にお願いしたほうがよいです。
過去に図書を発行した部品・装置について現物を見に行くのであれば、確実に「図書類」は必要になります。
具体的には以下の図書が必要になります
ものづくりでは「現物が図面と一致していることが正しい姿」です。
特に何か問題が起こったときには、「図面に対して現物がおかしいのか」「そもそも図面がおかしいのか(寸法ミスや、そもそも作れない形状だったりなど)」のどちらかである事がほとんどですので、それを確認するためにも図面は必要です。
現場に行って、図面がおかしいことがわかった場合は、すぐに図面の改訂が必要です。これを面倒臭がってやり損ねると、一体何が装置の正しい姿なのかがわからなくなり、カオスになります・・・。
そして、検査記録または取扱説明書を発行している場合は、それも持っていくと良いでしょう。
これから検査をする場合は、予め検査項目を整理した資料を持っていくことも重要です。
以前私がお客さんから「機械の調子が悪いから、すぐ来て直してくれ!」と言われて現場に行ったことがあるのですが、現場に行ってびっくりしたことがあります。そこで見たのは、私の会社が提出した取扱説明書とは内容が全く違う、お客さんオリジナルの取扱説明書でした。使い方もぜんぜん違っていたので、「そりゃ壊れるに決まってるし、保証もできるわけないやん!」と思いましたね(笑)
大型の機械になると、図面の枚数が数百枚・数千枚にもなったりします。ですが、セキュリティの関係でPCの持ち込みが禁止の現場もあるため、その場合は荷物の中で一番重い
現場に行く際は、写真や動画が取れるカメラを持っていきましょう。
「百聞は一見にしかず」と言われる通り、現場の人から話を聞いたり、図面や計算書を眺めているよりも、現場を見た方が「情報の量」も「情報の質」も違います。
そんな貴重な場に行ったことを、簡便に記録し、かつ高純度に保存ができるのがカメラです。
現場に行ったら、間違いなく上司に状況報告をしなければなりません。
理系の人は、口頭での説明や、文章を書くのが上手くない人が多いのですが(もちろん、私もです・・・)、
そんな人でも現場で撮った写真や動画があれば、上司たちはなんとか理解することができます。
また会社によっては、社内教育の一環として、若手のうちに学んだことを役員に発表しなければならなかったりします。
そんなときにも、現場で撮った写真や動画があれば、かなり映える発表とすることができます。
現場の状況を紙で頑張ってメモをしている人もいますが、メモを取るのが大変な割に、メモそのままでは上司への報告に使えません。また「手ぶらで現場に行って頭で覚える」という人もいますが、どうせすぐ忘れてしまいますし、忘れたからといって再度現場に行くとなれば「散歩するために現場に行ったんですか?」と思われても仕方ありません。
中には「自分のスマホ持っていくから大丈夫だよ!」という人もいるかとは思いますが、それはおすすめしません。
スマホを使うにしても、その場合は「会社用のスマホ」を使うようにしましょう。
その理由は以下の3つです。
理由の1つ目は、セキュリティ対策のためです。
現場には、世の中に出回ったら困るような企業秘密がたくさんあることも多いです。
そのため、プライベートの通信機器の中に、機密情報を入れることがアウトとしていることが多いのです。
特に最近ではSNSが普及したことにより、誰でも気軽に写真や動画をアップロードすることができてしまいます。
「プチ自慢したいし、匿名だから大丈夫だろう!」と思って、軽い気持ちでSNSにアップロードをしてしまうと、後々裁判ざたにまで発展してしまうことだってあります。
そのため、人によっては「スマホ=情報流出の根源」とみなしている人もおり、それがお客さんだった場合、かなり問題視されたりします。
よりセキュリティが厳しい現場ですと、そもそもそういった機器の持ち込みが禁止されていたり、こっそり持ち込まれることがないようにX線のゲートを設けているようなところもあります。そういうところは、カメラどころか、紙媒体以外すべて禁止だったりするのですが・・・
2つ目は、現場は粉塵や油などで汚れやすいからです。
現場は油や粉塵、切り粉などが当たり前のようにあるため、気がつくと汚れたりします。
最近の液晶ガラスはキズがつかないよう、硬度の高いガラスをつかっていることもありますが、そのまわりの筐体は傷がつきやすかったりします。
スマホカバーとかをしていると、本体とカバーとの間にめっちゃ汚れがたまりますし、最悪キズまみれになってます(笑)
あとは、充電プラグやボタンの隙間から粉塵が侵入して動作不良を起こしてしまう場合もそこそこあります。
3つ目は、現場は足場が不安定な場合もあり、スマホを誤って落としやすいためです。
現場というのは要するに工事現場のことなので、足場が舗装されていなかったり、水はけが悪かったり、なんとなく床がヌルヌルして滑りやすいなどはは当たり前のようにあります。
現場で起こる怪我でも、最も多いのが「小さな段差等につまづいて転んだ」というもので、それほど転びやすいところなのです。
歩きスマホはもちろんNGですが、歩きスマホをしていなくても結構ものを落としやすいです。
私の先輩は、現場の仮設足場でスマホを落としてしまい、スマホが足場の隙間から落下して、スマホが粉砕されてしまっていましたね・・・。
現場に行くなら、最低限の測定器具として「スケール・コンベックス」を持っていくようにしましょう。
現場の資料を残すのにはカメラが最も活用されますが、それに次いで活用されるのが「スケール・コンベックス」で測った寸法情報です。
例えば現地視察へ行ったときには、「搬入口の大きさを調べる」「図面に乗ることが少ない、配管や配線の寸法を調べる」のに使いますし、
プロジェクト進行中に現場に行った際には、「図面寸法と齟齬がないかを調べる」「現物合わせで部品を設計する必要がある際に周辺寸法を調べる」「不具合の状況をより正確に報告するのに寸法を調べる(○○mmぐらい干渉しているなど)」といった場面で使用します。
ありとあらゆる場面で使いますね!
また、現場で写真を取る際にも、隣にスケールを置いて、スケールと一緒に撮影すると良いです。
カメラで撮った画像にスケールが写っていることで、現場の様子を上司へ報告したり、後で写真を見直すときに、現物の寸法を認識させることができます。
なお、使いやすいスケールを探しているなら、新潟精機の快段目盛がおすすめです。
一般的なスケールは目盛りが読みにくいですし、薄くて平たいので落とすと拾うのに一苦労します。
そういった使いづらさが改善されているので、非常におすすめです。
また、コンベックスについては以下の記事で紹介しているものの中から、ご自身の状況に合ったものを選んだらいいかと思います。
いざ現場に行って現物を確認しようとしても、夜間は見えなかったり、設備内の照明が遮られて見えなかったりすることが非常に多いです。
そういったときのために、懐中電灯・投光器を持参するようにしましょう
現場に持っていく懐中電灯・投光器は、コードレスで、しっかり明るさが出て、水や粉塵に強いタイプがおすすめです。
カメラで動画等を撮影するときなどは、そこそこ明さの出る懐中電灯・投光器を使わないとうまく映らないことが多いです。
ちなみに、こういったライトは電池・バッテリーの消耗が激しいので、予備を準備しておくようにしましょう。
「カメラや懐中電灯を使おうと思ったら、バッテリー・電池が切れてて使えない!」といった自体にならないようにするため、予備の乾電池やバッテリーは持っていくようにしましょう。
測定器の中にはボタン電池だったり、特殊な電池が必要なものもあるので注意してください。
大したことじゃないように見えるのですが、こういう自体はちょこちょこ見かけます(笑)
また、新品の電池でも、ずっと放置しているといつの間にか液漏れしていたみたいな自体になることもあるので、出張前にしっかり確認するようにしましょう。
うっかり忘れてしまったときには、現場の人に頭を下げて、工具を借りるしかないですねー。でも、航空整備場のように一人ひとりがキッチリ工具を管理しているような現場では、そういったことはNGだったりするので注意しましょう。
今回の内容をまとめると以下のとおりです。
機械設計の出張は突然であることが多いですが、だからこそ侮らずにしっかり事前準備をして、現地で慌てることがないようにしていきましょう。
今回は以上となります。ご一読ありがとうございました。
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