材料力学における部品の固定方法について、実際どのようなものがあるかを挙げるとキリがないですが、(ボルトで固定したり、溶接したり・・・など)
これらは次の3種類のうちのどれかにモデル化(分類化)されます。
なぜ固定方法の話をするかというと、
曲げ荷重においては、材料の固定の仕方によって、材料に発生する現象が大きく異なるためです。
今回は、それぞれの場合で、
材料にはどのような現象が起こるのか?
実際は、どのように使い分けがされているのか?
について、お話しします。
上下左右と、回転方向に材料を拘束する固定方法です。
単に「固定」と言ったりもします。
固定支持の梁の中央に荷重がかかると、以下の図のように変形します。
固定支持は、例えば壁に直接材料を固定する場合に相当するので、壁のような図で描かれることが多いです。
固定支持では、固定部(壁の付近)において、荷重がかかる前後で材料が変形しないことが特徴です。
また材料が「上下」「左右」「回転」が拘束されるということは、材料は支持部からは、
「上下」
「左右」
「回転(モーメント)」
の反力を受けます(図の緑色が反力)。
さらに固定支持は、1箇所の固定だけで材料を完全に拘束しますので、
材料のうち、1箇所の固定支持されるだけで、梁としての機能をもつ(曲げ荷重を受ける)ことができます。
上下左右には拘束しますが、回転方向には拘束しません。
「ピン支持」や、単に「支持」と呼ばれることもあります。(製造業界で「ピン」は円柱状の部品のこと)
単純支持の梁の中央に荷重がかかると、以下のように変形します。
単純支持の梁は、三角形の台の上に「ポンッ!」と置かれたような状態に似ているので、三角形で描かれることが多いです。
単純支持では、回転方向には固定されませんので、固定部のところから弧を描くように変形します。
よって材料は支持部から、
「上下」
「左右」
方向のみ反力を受けます。
ただし、回転方向には固定されないので、必ず2箇所以上の固定が必要となります。
上下方向のみに拘束しますが、左右方向と回転方向には拘束されません。
移動支持の梁の中央に荷重がかかると、単純支持と似たように変形します。
移動支持は、左右方向の拘束が解かれた単純支持なので、三角形にタイヤが付いたような図で描かれることが多いです。
移動支持の梁は、少なくとも1箇所は、「固定支持」か「単純支持」となります。
そうしないと、材料がどこかに飛んでいってしまうためです。(材料力学は物体の運動についてはあまり扱いません)
梁に対して、長手方向の力がかからない場合は、単純支持と同じ現象が起こります。
長手方向に力がかかっている場合、移動支持側は左右方向に移動できますので、応力がかかりません。
以上の3種類の支持方法が、主に計算モデルでは使われます。
尚、梁の計算において拘束されるのは、梁の端であることが非常に多いです。
そのため、「梁の支持方法」と、「端」という言葉を使って、いくつか計算モデルに呼び名がついております。
代表的なのは以下の3種類です。
片側が「固定支持」、片側が「支持されていない」梁です。支持されていない側は「自由端」と呼ばれます。
梁の両側が「固定支持」で支持されている梁です。
梁の両側が「単純支持」で支持されているものです。
固定支持は、骨格の役割を担うような材料に多く使われます。
皆さんの家が床を歩くたびに、床がうねっていたら欠陥住宅です。
一方で、単純支持や移動支持は、補強材(メインの骨格部材を補助する部材)や、雨避けなどのあまり強度を必要としない部分によく使われます。
単純支持のいいところは、斜めに取り付けやすいことです。
固定支持の部品を斜めに取り付けようと思ったら、
ちゃんと角度を狙う必要があります。
しかし、部品の組立において角度を合わせるのは難しく、
長さ1mの梁を取り付けるときに、
角度が1度ずれただけで、17mmぐらい位置がずれるため、
組み立てられません。
そんな時に、回転方向に動くことができる単純支持であれば、比較的簡単に組立てることができます。
また、車や電車のボディは、タイヤの上に単純支持で固定されているとすることができます。
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