こんにちは、リヴィです。
普段は機械設計の仕事をしています。
ねじを締めたり緩めたりしていると突然「グニャ」という感触があるときがあります。
おそるおそる工具を外してみると、ねじの頭が見事に変形していて
うわぁ、やっちまった・・・ねじがなめた・・・
なんてことは、誰でも一度は経験したことがあるのではないでしょうか?
ねじがなめると、工具でねじを回そうとしても、ねじと工具とが滑ってしまい、うまく回すことができません。
「ねじがなめた!」と思ったら、無理にねじを回してはいけません。なんとかしようとすればするほど重症化する可能性が高くなります・・・
そんないざとなったときでも、冷静に対処ができると一安心ですよね!
そこで今回は「ねじがなめたときの外し方」について解説していきます。
家庭でも、機械の現場でも使えるテクニックですので、ぜひ参考にしてみてください。
まずは、そもそものねじの締め方・緩め方について見直してみましょう。
これを覚えておかないと、また同じことをやらかしてしまいますからね・・・
締め方・緩め方の手順自体は難しいことはなく、
といった感じです。
いや、それぐらい言われなくてもわかるし!
と思われがちですが、でもねじがなめる原因のほとんどは、これらの内いずれかができていない事が多いのです。
まずはねじのサイズにあった工具をちゃんと選ぶようにしましょう。
ねじがなめてしまったという現場を見に行くと、ねじ穴に対して工具(ドライバーや六角レンチ)が細いということです。
ねじの穴に対して細い工具を使うと、なんとなく上手くはまっているように見えるのですが、
するので、結果ねじがなめてしまいます。
ねじに使用する工具の太さは、ねじの大きさごとに決まっていますので、適切に選ぶようにしましょう。。
選ぶのが苦手な方は「太い工具から試す」とさえ覚えておけばOKです!
工具をねじにかける際は、奥までまっすぐかけるようにしましょう。
よくあるのが
ということで、このようになっていると、ねじがなめやすいのはもちろん、ねじから工具が抜けやすくなります。
力いっぱい締めている時に工具が「スポン」と抜けると、高確率で怪我をします。
特にモンキーレンチを使用するときなんかは、アゴ幅を調整するところをしっかり押さえていないと、どんどんアゴが広がっていってしまい、ボルト頭がなめる原因になります。
ねじを回そうとすると、ついつい一生懸命回すことに注意が行きがちですが、重要なのは回す力よりも押さえる力です。
どの程度かというと、「押さえる力」と「回す」との割合は7:3程度です。
回す力の倍以上の力で押さえないといけません。特に電動のドライバーを使うときは要注意ですよ!体重をかけてガッツリめに押さえないと一瞬でなめます・・・
もし、ねじの傷みがそこまで激しくないのであれば、ねじの滑り止め液を使うのがおすすめです。
中には黒っぽい液体が入っており、これをなめたボルトの溝に適量塗って、あとは工具を差し込んで慎重にねじを回していきます。
黒っぽい液体の中には、若干「ジャリジャリ」とした粒子が入っており、それがねじと工具との間に入り込む事によって滑り止めになるといった感じです。
工具箱の中を圧迫しないサイズ感なので、1つ入れておくといいですよ!
ねじが外しにくい要因として、ねじの座やねじ部がサビなどで固着しているという場合もあります。
なめていない健全なねじでも、ねじの座やねじ部がサビていたりしたせいで、
どれだけ一生懸命回してもカタいんだけど!!
というレベルまで深刻化してしまっていると、工具を回したときにねじがなめてしまいます。
そういったときには、ねじの座やねじ部を潤滑してあげることで、固さをとってあげるのも有効な方法となります。
その潤滑剤の中でも比較的有効なのが「ラスペネ」です。
スプレー状になっている溶剤で、ねじに少量「シュシュッ」と吹きかけるだけです。
潤滑だけでなく、防錆目的にも使用することができるので、機械の加工〜メンテナンスに至るまで幅広い場面で使えます。
同様の商品で有名なものに「KURE 5-56」というものがあります。
ラスペネに比べると値段がかなり安いのですが、比較的軽微な症状ならいけるものの、重篤な固着だと物足りなさがあります。
特に固着した箇所へ潤滑剤をしっかり浸透させようと思うと、ラスペネの方がよいです。
そのため、確実性に固着を取りたいのであれば、ラスペネのほうがいいかなと言う感じです。
一見するとねじがなめて全く工具が引っかからない用に見えても、貫通ドライバーとハンマーを使えばなんとか救済できる場合があります。
というのも、ねじがなめた要因として「工具が奥までしっかり入っていなかった」というケースも多いのですが、その場合ねじ穴の奥の方は穴形状がまだ残っている事があるのです。
そのため、そのわずかに残った穴形状のところへドライバーを食い込ませることができれば、ねじを回すことができるのです。
このとき、ドライバーをハンマーで叩いて食い込ませるのですが、この時使用するのは、ドライバーのお尻までビットが貫通している「貫通ドライバー」を使用します。
マイナスの貫通ドライバーでも一応OKですが、マイナスドライバーは先端が尖った形状をしていないので、かなりガッツリ食い込ませなければいけません。
またハンマーは「片側プラスチック+片側鉄」のハンマーがおすすめです。
ハンマーで叩くと装置に衝撃を与えてしまうことになるので、はじめはプラスチックの面で叩き、
上手く行かないようであれば鉄側に切り替えて叩くといった具合で使えば良いです。
貫通ドライバーがない場合はビットでやる場合もありますが、ビットをハンマーで叩くとハンマーがボロボロになりやすいので注意が必要です。
ねじの傷みが激しく、工具が一切かからないような場合、ねじ頭の外側を掴んで回すというのが有効なことがあります。
掴む系の工具といえば、ペンチがありますが、中でもねじを外すのに特化したペンチが「ネジザウルス」です。
めっちゃ中二病っぽい商品名ですが、優秀な工具です笑
ただし、
といったことがあるので、注意してください。
ここまで色々試してみたけど、どうしても外れない場合は、ねじ頭に新たなネジ穴を作る方法を試してみましょう。
そこで便利なのが「なめたネジ外しビット」
商品名がそのまんまです笑
公式のYouTubeチャンネルに使い方がわかり易く解説されていたので、掲載しておきます。
破断したボルトの救済にも使えます。
ただし注意点として、ビットの先端は結構細く、穴あけの際にビットが斜めっていると折れてしまうので、ちゃんと真っ直ぐに穴あけができているかを確認しながらやるようにしてください。
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