このような疑問・悩みを持った人へ、お答えしていきます。
ノギスは部品の寸法を手軽に測定するのに便利な測定器具です。
最近はデジタルノギスが普及しており、ノギスの目盛りを読むのが簡単になりましたが、アナログノギスも未だ多くの人が使っているのを目にします。
ただアナログノギスを利用するには、主尺とバーニア(目盛り)の読み方を理解する必要があります。
目盛りの読み方は覚えてしまえば、割と簡単ではあるのですが、なぜこの読み方で測定ができるのかという「原理」まで知っている人は少ないのではないか、と思います。
そこで今回は、アナログノギスのバーニアの読み方と、その原理についてお話ししていきます。
アナログノギスの目盛りは、
「バーニアの0が指す主尺の目盛り」+「主尺の目盛りと揃うバーニアの目盛り」
で読みます。
文章で説明するよりも、絵を使って説明をした方がわかりやすいので、具体例をあげながら説明をしていきます。
以下のように、アナログノギスで丸棒の直径を測るとします。
このときの目盛りについて、拡大をすると、以下のようになっていたとします。
ではこの目盛りは、どのように読めばよいのかを、順を追って説明いたします。
まずは、バーニアの目盛りの「0」が、主尺のどの位置を指しているかを見ます。
この例では、13〜14の間を指していますので、13mmとなります。
ここでは、小数点以下の目盛りは読みません。
続いては、主尺の目盛りと揃うバーニアの目盛り、つまり主尺の目盛りとバーニアの目盛りが揃っているのはどこかを見ます。
見えにくいとは思いますが、この図ではバーニア目盛りでいう「6.5」の位置が、主尺の目盛り線(26mmのところ)と一致しています。
逆にそのほかのバーニアの目盛りは、主尺の線とはズレていることがわかります。
この例におけるバーニアの目盛りは、
「0.5」の目盛りで主尺と一致していれば「0.05mm」、
「1.0」の目盛りで主尺と一致していれば「0.10mm」、
という意味になりますので、
「6.5」の位置で一致している場合は「0.65mm」
という意味になります。
計測結果は「(1)で求めた値」+「(2)で求めた値」となりますので、
「13mm + 0.65mm = 13.65mm」
となります。
先ほどの例で挙げた丸棒の直径が、なぜ13.65mmであるとわかったのかについて、測定手順を振り返りながらお話ししていきます。
まず(1)で、バーニアの「0」の目盛りが、主尺のどこを指しているのかを読んだ結果、13〜14の間であったため、整数部分の寸法は「13mm」だということがわかりました。
これは、ジョウを閉じた時にバーニアの「0」の目盛りが主尺の「0mm」を指していることから、
13〜14の間にあれば、丸棒の直径は「13.**mm」だ
というのは直感的にわかると思います。
続いて(2)において、
「主尺の目盛りと一致するバーニアの目盛りはどれか」を読みました。
その結果、バーニアの「0.65」の目盛りと一致していたことから、小数部分の寸法は「0.65mm」だ
ということがわかりました。
ただ、ふと考えてみると
「バーニアの目盛りが主尺と一致すると目盛りだから」というだけで、
それが小数部分の目盛りになるというのは、何だかしっくりこないという人が多いと思います。
そのため、なぜこの方法で寸法の小数部分がわかるのかという原理についてお話しします。
19mmの長さが20等分されているバーニアを例に挙げて解説しましょう。
このバーニアの1目盛りは何ミリなのかを計算すると、
「19mm ÷ 20 = 0.95mm」
となります。
一方で、主尺の目盛りは1目盛り1mmです。
そのため、主尺とバーニアの目盛りは1目盛りあたりどれだけズレるかというと、
「1mm – 0.95mm = 0.05mm」
となります。
ここで以下のように、ジョウを閉じて目盛りを「0mm」に合わせた時をみてみましょう
すると、主尺とバーニアとの目盛りのズレ量はぞれぞれ赤字のようになります。
ちなみに上図のように、バーニアの「0」の目盛りが、主尺の目盛りと一致しているときは、バーニアの「10」の目盛りも、主尺の目盛りと一致します
それは目盛りのズレ量が、ちょうど主尺の目盛り間隔である1mmになるためです。
では次に、太さが0.05mmであることがわかっている髪の毛の直径を、アナログノギスで測定をしてみましょう。
すると、ノギスの目盛りは以下のようになります。
これをみると、バーニアの「0.05」のところで主尺と目盛りが一致しておりますが、他のバーニアの目盛りは主尺とは一致しません。
これは測定対象物の太さが「0.10」「0.15」「0.20」・・・でも同じような結果となります。
このバーニアの原理は、主尺の目盛り間隔(1mm)と、副尺の目盛り間隔(0.95mm)の最小公倍数を考えればよいです。
「1」と「0.95」の最小公倍数は19であることから、バーニアの目盛りが19mmまでしかなければ、主尺と一致するバーニアの目盛りは1箇所しかない(「0の目盛り」の場合は「10の目盛り」とも一致するので2箇所になる)ということになります。
ただしこれが成立するのは「測定対象物の寸法が0.05mmの倍数になっていること」が前提であり、例えば棒の直径が「26.67mm」であった場合には、20等分されたバーニア目盛りでは正確な測定ができないということになります。
先ほどの例で紹介したバーニアは「19mmを20等分した目盛り」でしたが、それ以外にもいくつか種類があります(JIS B 7507より)。
※ネットで見れるJISの無料版は、図や表がうまく表示されませんし、内容が古い場合があります。見やすくて、最新の資料がほしい人は「JISハンドブック」を購入するのをオススメします。
目盛りの形式 | 最小読み取り値 |
9mmを10等分 | 0.1 |
19mmを10等分 | 0.1 |
19mmを20等分 | 0.05 |
39mmを20等分 | 0.05 |
49mmを50等分 | 0.02 |
最小読み取り値は、目盛りが何等分されているかによって決定されます。
(10等分であれば0.1、20等分であれば0.05、50等分であれば0.02)
また、分割される寸法は、長ければ長いほど目盛りが読みやすくなります。
ただし、分割される寸法が長くなるほど、ノギスのサイズが大きくなり、扱いにくくなるので注意してください。
今回のポイントについてまとめると、以下のとおりとなります。
今回でアナログノギスの基本的な使い方はわかったかと思います。
ただ、ノギスなどの測定器で最も大切な知識は、測定誤差についてです。
ノギスを使用する前には、しっかり理解しておくことをおすすめします。
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