高校生でも理解できる!静止摩擦係数の測定原理

力学 更新:
滑った瞬間

今回は、静止摩擦係数の測定原理についてお話しします。

静止摩擦係数は、対象とする物体の材質が同じであっても、温度や接触面の粗さなど、物体が置かれている材質が置かれている状況が異なるだけで、値がばらつきます。

そこで以前、机の上でも簡単に測定ができる方法についてお話ししました。

結論を言うと、以下の図の「グレー」と「青色」の部品との静止摩擦係数は
以下の図のAとBの長さを測り、A/BをすればOKです。

滑った瞬間

[mathjax]
$$\mu=\frac{A}{B}$$

その原理は、高校生で習う物理の知識があれば、十分理解することができます。
その理由をご説明いたします。

まずは、以下の図をご覧ください。

力の関係1

Wは白い物体の質量、gは重力加速度、θは傾斜角を表しています。

ここで、白い物体が静止しているとします。
上の図に、さらに「白い物体」が「灰色の斜面」から受ける力を書き足してみます。

力の関係2

Nは灰色の部品から受ける「垂直抗力」、μ_0は「静止摩擦係数」です。

ではつり合いの式を立てます。

x軸方向について、力のつり合いを考えると以下のようになります。

[mathjax]
$$N-Wgcos\theta=0・・・(1)$$

続いて、y軸方向について力のつり合いを考えると以下のようになります。

[mathjax]
$$N\mu_0-Wgsin\theta=0・・・(2)$$

(1)と(2)を使ってNを消去すると、

[mathjax]
$$\mu_{0}Wgcos\theta-Wgsin\theta=0$$

[mathjax]
$$\mu_0=\frac{sin\theta}{cos\theta}=tan\theta$$

となります。

そのため、白い物体が静止する最大の傾斜角をθ’とすると

[mathjax]
$$\mu=tan\theta’$$

μは、静止摩擦係数です。

tanθ’は、白い物体が動いた瞬間のAとBの長さを測り、A/Bを計算することで、求めることができます。

滑った瞬間

手ごろに測定できますので、知っておくととても便利です。


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