機械設計のつらいところ【ほとんどの人が一回は挫折します】

キャリア

機械設計のつらいところについて知りたい人:

機械設計の仕事って、つらいとか聞くけど本当かな?就職や転職を考えているけれど、後悔したくないので、機械設計の仕事のネガティブな部分について知りたい。あと、それらって対策できるものなのかどうかについて教えてほしい。

こういった疑問や悩みについて、お答えしていきます。

私は現在、機械メーカーの正社員5年目で、普段は自社製品の設計・開発を行なっております。

私は入社以来ずっと設計として仕事をしているですが、そこで自分が経験したことや、周りの人たちから聞いたことをふまえて、機械設計のつらいところについてお話ししていきます。

9割以上の人が挫折を経験している

私の経験や、他の設計職の人から話を聞いたりすると、ほとんどの人が機械設計の仕事で挫折を経験しています。

細かくいうと、キリがないほど落ち込んだ経験がありますが、だいたい共通するのは以下のような内容についてです。

覚えなければならない知識が多すぎて絶望する

よく、機械設計の仕事に必要な知識は4力であるという回答をよく見かけます。

4力(よんりき)というのは「材料力学」「流体力学」「熱力学」「機械力学」の4つの学問をまとめた呼び方です。
工学系の学部に行くと、これらの科目はほぼ必修となっています。

これは間違ってはいないですが、回答としては不十分です。

なぜなら、大学で習った4力の知識だけでは、全く設計ができないからです。

これは私がイキっているのではなく、実際に挫折したからです。

じゃあ他に何が必要かというと、機械設計の初心者を卒業するためには少なくとも、次の基礎的な知識を理解する必要があります。

  • 機械要素(ねじ、歯車、モーター、減速機、ベアリング、ボールネジ、リニアガイド、シリンダー、油圧・空圧、リンク、ばね、シール、など・・・)
  • 製図
  • 加工
  • 組立て・メンテナンス
  • 規格・設計基準
  • 設計ツールの使い方
  • 業界用語

一つの項目をなんとか覚えるだけでも大変なのですが、加工や組立てなどのように「設計そのもの以外の知識」も理解をしなければならないのです。

私の経験談をご紹介しますと、私が初めて設計したのは、人間と同じぐらいの大きさの部品を持ち運びしやすくするための道具(治具)でした。

その設計業務は課長の方針により、構想から図面作成までを全て自分でやる(わからない部分を誰かに相談するとかはOK)というものでした。

しかし、いくら図面を描いて上司に見せても「そんなものを使わなくても、これを使った方がシンプルだ」とか、「そんな構造にしたら組み立てるの大変だ」とか、とにかくダメ出しをされました。

ダメ出しをされたことについて、アドバイスをもとに描き直したとしても「いやいや、あれはあくまで方法の一つだから。もっといろんな視点で考えて構造を決めないとダメだよ」と言われました。

結局、合計で20回以上図面を描き直し、設計が終わった時には3ヶ月以上が経っていました。
当然、期限はとっくの昔に過ぎていたため、私が設計した部品が製作されることはありませんでした。

人によっては、機械設計の奥の深さを知って、ワクワクするという場合もあるそうですが、
当時の私にとっては絶望でしかありませんでした。

模範解答がないと問題が解けないことに気づく

学校のテストや演習において出題される問題には、必ず模範解答があります。

よって、テストでそこそこの点数を取ろうと思ったら、過去問をたくさん集めて、問題のパターンを覚えてしまえばよいわけです。

しかし、機械設計の業務はそれとは違って「模範解答のない問題について、その時代その状況における最適解を考えること」です。

学校のテストでいう過去問に相当するものとして、会社では過去の実績というものがあったりしますが、状況によってはその資料ですらも役に立ちません。

そのため、模範解答のない問題をほとんど解いたことがない若手のうちは、そもそもどうやって問題に取り組めばいいのかが、わからないのです。

今の会社に入社したばかりの私はこんな状況でした。

ある日上司に「この部品の強度計算しといてもらえる?」と言われたので、材料力学の公式をググりながら計算しました。

その結果、強度が足りていないことがわかったので「強度が足りていませんでした。」と報告しました。

すると上司から「・・・で?どうするの?」と言われました。

要するに、ダメであれば対策まで考えて来いということでした。

そのため、材料の強度をあげるために、材料のサイズをアップすることにしました。

材料力学の演習問題で「xxの荷重に耐えるためには、丸棒の径はいくつ以上が必要となるか?」というパターンの問題を思い出したからです。

再計算をして、強度が足りていることを確認したのち、上司に「材料をこのサイズに上げれば、強度はOKです」と報告しました。

すると上司から「図面確認したか?材料のサイズなんてアップしたら、たぶん干渉するよ?」と言われました。

確かに、図面で確認してみたところ、他の部品と完全に干渉していました。

すると再び上司から「・・・で?どうするの?」と言われてしまいました。

とりあえず場をしのぐために「ちょっと考えさせてください」と回答したものの、丸 3日間考えても、どうすることもできませんでした。

その時私は、砂漠のど真ん中に一人取り残されたような気持ちになり、「オレって、設計向いているのかな・・・」と激しく落ち込みました。

設計が上手くできるようになるには、とにかく量をこなす

設計が上手くできるようになるには、とにかく量をこなすことが大切です。

詳しくはこちらの記事で解説をしております。

機械設計の上達のコツ【圧倒的に量が大切です】
機械設計の仕事をはじめてしばらく経つけど、あまり成長しているという実感がわかない。頑張ろうにも、機械設計の仕事って思ったより難しいし、覚えなきゃいけないことが多くて、どこから手をつけたら良いかわからない。上達するコツがあったら教えて欲しい。

心が折れそうな時は、業務のハードルを下げよう

量をこなすことが大事だと言いましたが、上達をする前に、立ち直れないほど心が折れてしまったら、仕事を続けるのが難しくなります。

そんな不安がある方は、思い切って「自分には難しすぎる」と白旗をあげ、業務のハードルをさげましょう。
ぶっちゃけ、若手の頃の私も何回かやりました。

白旗をあげるというのは、他の人が作成した「図面のチェック」や「計算書の検算」程度に、業務の範囲を狭めるということを指します。いきなり「仕事を辞める」とか「異動を申請する」といった行動に出るということを指している訳ではありません。

白旗をあげたときに「その後のキャリアに傷がつくんじゃないか」「二度と設計をやらせてもらえないんじゃないか」と思う方は、全く心配ありません。

なぜなら、あなたが業務をやり遂げることができなかったのは、あなたの責任ではないからです。

これは誰の責任かというと、課長や部長の責任となります。課長や部長の業務の一つに「部下の力量を見計らって、業務を割り当てる」というのがあるからです。

白旗をあげるのは、最初は勇気が必要です。

会社の就活や研修で「チャレンジ精神」や「困難な課題に積極的に取り組む姿勢」が強調されまくっているのが原因の一つだと思います。

ですが、依頼された業務の内容について、70〜80%以上が自分が知らない・やったことがない分野でしたら、それは明らかなキャパオーバーです。

与えられた業務が滞ると、自分の精神が消耗するだけではなく、同じプロジェクトの仕事をしている他の人にも迷惑がかかってしまいます。

自分の心がポッキリいってしまう前に、潔く降参してしまいましょう。

まとめ

今回の内容についてまとめると、次のとおりとなります。

  • 機械設計の仕事をしているほとんどの人が、挫折をするほどのつらい経験をしている
  • 上達するには量をこなすしかない
  • 完全に心が折れそうだったら、白旗をあげる

挫折をしない人は、天才の人か、就職する以前に設計の経験がある人ぐらいです。

できないことばかりですと、めちゃくちゃ落ち込むのですが、

そんなときはこの記事を読んで「機械設計でご飯食べている人でも、ほとんどの人が通ってきたことなんだなぁ」という風にとらえ、気持ちが少しでもラクになっていただければと思います。

経験が浅いうちから「自分にこの仕事が向いているかどうか・・・」と思い悩む必要はないです。

ただし、まだ上手く設計ができないあなたに対して、周りの人が「頭を使って考えろよ」と言って全く助けてくれなかったり、上司が「なんとかしろ」と言ってあなたに責任を押し付けて、残業や土日出勤を強いて来るようでしたら、その職場から抜け出すことを考えた方がよいと思います。

今回は以上となります。

ご一読、ありがとうございました。

コメント

  1. アンドウ より:

    記事読みました。
    まんま私の現在と同じような体験をしていらしてどこか心が救われました。
    私ごとですが、今4年目である案件で、白旗をあげても基本的に自分設計者やねんから自分で考えて納得してから持ってこいとマネージャーはよく言ってきます。考えても考えてもアイディアが尽きるぐらい考えてもマネージャーが思う考えには辿り着けずに再度やり直しになります。周りからは一人で考え込んでも解決は大変やとは言われつつも、日頃からマネージャーには自分で考えろというセリフが脳裏を横切り、なかなか脱却できません。かといって納期もあるわけですし、ゴールに向かって進む必要があるので、解決方法を示唆して見せてほしいと相談しましたが、ヒントとかをくれるだけで、営業には自分が悪いんやから自分で謝れ(設計遅延で)と言われていつも後手に回っています。
    マネージャーの性格は完璧主義者で細かい性分なので、いつもよく、「図面は完璧じゃないと判子おさん、自分だって現場で信用失うん嫌やろ」とよく言われます。
    一番辛いのは、組立工程や部品の加工工程の図面での検証で、これどうやって組むねんとかを言われたとき、自分なりに説明するものの、そう思うんやったらいっぺんやってみいと言われ、
    ワシ責任取らへんぞとまで言われます。
    私にできるようになってほしいというマネージャーの思いは当然感じますし、私自身の考え不足やミスや甘さが有ることが1番の原因だと思いますが、
    もはやここまでくると、全てがどうでも良くなってきました。
    年々声も小さくなり、自信を失ってきたのが自分でも自覚できるぐらいです。
    こうしたモチベーションの時、どうやったら不安定から安定に変えれるのでしょうか。正直業種を変えたいとも考えるようにもなってきました。
    長々とすいません。

    • リヴィ リヴィ より:

      アンドウさん
      コメントありがとうございます。想像以上の叩き上げ文化で、びっくりしました笑。マネージャーの「自分で考えろ」という言葉には、「答えを丸暗記するのではなく、ちゃんと原理や理念に基づいて考えてほしい」「そのような優れた設計者として成長・自立してほしい」という思いも込められているかと思います。ただ、精神的にも、納期的にも追い込まれるのはしんどいですし、「責任を取らない」という言葉は冗談でもキツいですよね。このような教育スタイルは、優れた技術者になれるか、心が折れるかに二極化しやすいと思います。

      私が思うに、アンドウさんが今の精神状態でこのままの業務スタイルで設計を続けていても、モチベーションを向上させることは難しいのではないかと思います。それは私自身がそうだったためです。

      私の経験上ですが、このような場合にできることは以下の2つです。
      1つ目はアンドウさんの周りの方もおっしゃられているとおり、「他のメンバーに頼りまくる」ことです。もしマネージャーそれをNGとするようでしたら、マネージャーに見つからないようコッソリやるなどが方法の1つです(例えば、マネージャーが会議中の間に、メンバーに相談しに行くなど)。それぐらい、1人では問題を解決するのは困難な状況だと認識したほうが良いです。メンバーに頼るときには「今度ビールおごるので、お願いします!」のように、そのメンバーが相談に乗ってくれるような気持ちになるような配慮は必要です。

      2つ目は、現場経験を増やすことです。アンドウさんのコメントを見る限り、マネージャーは「現場=お客様」のような、現場を尊重する考えをお持ちかと思います。確かに製作・現場の人たちの視点を持つことは重要ですし、現場で発覚した設計ミスを取り返すのは困難を強いられるケースがしばしばあります。しかし、一生懸命教えられても、現場経験をそこそこ積んだ人でないと理解できないような内容も多いです。私も、後輩の指導をしていて痛感します。
      私が若手の頃は、現場に行く度にSVの方に張り付いていたりしていました。また、近くの加工屋さんがとても親切な方だったので、打ち合わせと称して加工屋さんに現場を見せてもらったりしていました。
      おかげさまで、部品・装置の製作でどのような部分でミスが起こりやすいかが想像つきやすくなりました。

      ただ、これらはあくまで現在の職場でやっていくことが前提の提案となります。
      業種を変えるのも一つの方法ですし、業種は変えずに職場を変える(異動や転職)も一つの方法です。

      ご参考にいただければ幸いです。

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