ダブルナットの締め方の向きによる違い

ダブルナット ねじ

ダブルナットの施工で、上ナットを締めた後に「ロッキング」をかけるために下ナットを逆転させるけれど、なんで下ナットを逆転させるのかを、詳しく教えて欲しい。

このような疑問について、お答えしていきます。

結論から言いますと、下ナットを逆転させるロッキング方法の方が施工ミスが少なくなるからです。

私は普段、機械メーカーで設計の仕事をしております。設計とはいいつつも、たまに自分が設計した装置の組立て現場に足を運んだり、場合によっては工事監督をしていることもあります。

ダブルナットは、アンカーボルトとベースとの固定や配管のサポートなどでしばしば使用しているのを見かけ、緩み止め対策の中でも比較的安価に行えるというメリットがあります。

しかし一方で、施工ミスが多く、緩み止めとして機能しないという不具合が起こりやすいものでもあります。

ダブルナットは、母材に近い側を「下ナット」、母材から遠い側を「上ナット」といいますが、特に施工ミスをしやすいところの一つが、上ナットを挿入した後の「ロッキング」と呼ばれる工程です。

このロッキングの方法は「上ナットでロッキングをする方法」と「下ナットでロッキングする方法」2種類あり、それぞれロッキングの際に施工するボルトと、回転の向きが異なりますが

「下ナットでロッキングする方法」が一般的に推奨されます。

その理由も含め、今回はダブルナットのロッキングについて、正しく施工する方法をお話ししていきます。

上ナットを締めた時の力の関係

ダブルナットを施工する時には、まず下ナットを締め込み(これを状態(a)とします)、その後上ナットを締めていきます(これを状態(b)とします)。

このとき上ナットは、下ナットよりも強めに締めこみます。

そのようにすることで、上ナットのねじ部がボルトと強く接触し、大きな摩擦力を発揮できる状態になります。

しかしこの状態では、下ナットのねじ部はボルトと接触していないため、下ナットは締結力に全く寄与していないこととなります。

そこで、この後にロッキングという施工を行うことで、2つのナットで緩みに対して摩擦力を発揮できる状態にします。

ロッキングの方法は2つある

ロッキング「上ナット正転法」と呼ばれる方法と、「下ナット逆転法」と呼ばれる方法とがあります。

どちらの方法で施工をしても結果的には以下の図のように、下ナットのねじ部がボルトと接触させることを目的とします。

こうすることによって、下ナットのねじ部でも、回転緩みに対して摩擦力を発揮し、緩み止めとして効力を発揮させることができるのです。

上ナット正転法

上ナット正転法とは、下ナットをスパナで固定した状態で、上ナットをさらに締め込んでロッキングをする方法です。

上ナットをさらに締め込むと、ボルトがさらに引っ張られるため、ボルトと下ナットのねじ部とを接触させることができるのです。

しかし上ナット正転法にはデメリットがあります。

それは、いつロッキングされるのかが、感覚的にわかりづらいということです。

必要トルクは「じわじわ増加」→「一気に増加」

下ナットを締めた状態(a)の後に、上ナットを締め込んだ状態(b)から、さらに上ナットを締め込んで行く過程では、上ナットを回すのに必要なトルクがじわじわ増加します。

そのまま回転させていくとロッキングが完了しますが、

ロッキングが完了した状態からさらに上ナットを回そうとすると、上ナットを回すのに必要な力がさらに必要となります。

ですが、このロッキングが完了した状態というのはかなりわかりづらく、上ナットの締め付けがだいぶ重くなった頃に「そろそろロッキングされたかな?」という状態になるのがほとんどです。

ナットを締めすぎると、ボルトがくびれたり、破断する原因にもなりかねないので、施工がなかなか安定しません。

そのため、上ナット正転法はあまり推奨されないのです。

下ナット逆転法

下ナット逆転法とは、上ナットをスパナで固定した状態で、下ナットを緩める側に回転させてロッキングをする方法です。

上ナットを締めた状態(b)から下ナットを緩める側に回転させることで、ボルトの軸力を少し減少させ、そこから下ナットのねじ部がボルトと接触するまで緩める側に回転させていきます。

下ナット逆転法は、上ナット正転法と比較して、ロッキングをしたかどうかが感覚的にわかりやすいというメリットがあります。

必要トルクは、「一定」→「一気に増加」

下ナットのねじ部がボルトと接触していない状態で下ナットを回している間は、下ナットの回転に必要なトルクは一定となります(下ナットのねじ部がほとんど接触していないため)。

そして、下ナットのねじ部がボルトと接触するとロッキングが完了となるのですが、

下ナットがロッキングされている状態から、さらに下ナットを回そうとすると、回転に必要なトルクが一気に上昇します。

そのため、締め付けに必要な力の具合でロッキングが完了したかどうかを感知することができるのです。

上ナット正転法よりも確実であり、施工ミスが少なくなるため、ダブルナットの施工は下ナット逆転法が推奨されます。

まとめ

今回のポイントをまとめると、以下のとおりとなります。

  • ロッキングの向きには「上ナット正転法」と「下ナット逆転法」とがある
  • 上ナット正転法は、ロッキングの瞬間が感覚的にわかりづらい
  • 下ナット逆転法は、ロッキングの瞬間が感覚的にわかりやすい
  • 施工ミスが少なくなる下ナット逆転法の方が推奨される

今回の内容は、以下の書籍から一部参考にしました。

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なお、より詳細なダブルナットの原理については、以下の記事をご覧ください。

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