マイクロメーターを保管する時にどんなことに注意をする必要があるんだろう。測定精度が高いということはそれなりに保管するときにも気を遣わないといけないのかな。
このような疑問をお持ちの方へ、お答えしていきます。
ものづくりの検査工程において、高い頻度で行われる検査が「寸法検査」です。
寸法を測るための測定器具はいくつか種類がありますが、その中でも比較的精度が高いものが「マイクロメーター」です。
マイクロメーターとは、0.01mm単位で寸法を測定することができる器具です。アッべの原理に従った測定方法であることから、非常に精度よく測れることが証明されております。
しかしマイクロメーターは、精度よく測れるが故に、適切な方法で保管がされていないと、いざ測定をしようとした時に、動作が安定しなかったり、正しい測定結果が得られないということが発生します。
大きな誤差が発生していることに気づかずにマイクロメーターを使用していると、最悪の場合、寸法がNGであるにもかかわらずOKとしてしまう可能性があり、品質保証上の大きな問題になりかねません。
そこで今回は、マイクロメーターの適切な保管方法についてお話ししていきます。
アンビルとスピンドルとをピッタリ合わせて収納したくなるかもしれませんが、マイクロメーターのことを考えると隙間があったほうが好ましいです。
その理由は、熱膨張によりスピンドルに熱応力がかかり、最悪ひずんでしまう可能性があるためです。
ほんのわずかなひずみでさえ、マイクロメーターでの測定結果に大きな影響を与えてしまいます。
マイクロメーターのフレームと、アンビル・スピンドルの材質の線膨張係数が近ければ影響は少ないと思われますが、それでも隙間をあけて保管するという癖はつけておいたほうが良いです。
高温な場所や直射日光が当たる場所ですと、マイクロメーターの温度が上がり、熱膨張してしまいます。
マイクロメーターは一般的に、20℃のときに測定結果が正しくなるように調整されております。
そのため、温度が当たって熱膨張をしたマイクロメーターは、もはや信頼性が低いのです。
「信頼性が低い」というのは、「実際の寸法」と「測定結果」とが一致しないということです。例えば10mmちょうどであることがわかっている物体を測定したとしても、10.2mmという測定結果が得られてしまうということです。
仮にマイクロメーターの温度が高い場合、マイクロメーターの使用前に「温度慣らし(マイクロメーターの温度を室温に戻す)」という工程が必要になります。
具体的に温度慣らしは「マイクロメーターを室温環境に放置する」という作業になりますが、これが完了するまでに数十分〜数時間かかります(もちろん、マイクロメーターの温度にもよります)。
マイクロメーターの使用後は、清潔にした上で、湿度の低い場所に保管してください。
マイクロメーターは非常にデリケートな測定器具ですので、汚れやサビが発生すると測定結果の信頼性が下がります。
特に測定子(アンビルやスピンドル)の先端は、測定対象物と接触する箇所ですので、ゴミや汚れがつきやすい箇所です。
ゴミなどが先端についていると、正しい測定結果が得られませんし、
汚れなどがついていると、サビの原因にもなります。
また、湿度が高いところに保管すると、たとえケースに入れていたとしても、ケースの内部が結露し、マイクロメーターがサビる可能性があります。
マイクロメーターの使用後は、防錆油などを塗布した上で、柔らかい布で拭き取っておくようにしましょう。
マイクロメーターは必ず専用のケースに入れて保存をしてください。
前述の内容と重複しますが、ケースに入れることによって、汚れやサビからマイクロメーターを守ることができます。
さらに、安価なマイクロメーターのケースは、ただのプラスチックのケースですが、しっかりとしたマイクロメーターのケースは、とても頑丈な作りであり、内側はスポンジが貼られています。
そのため、落下などによる衝撃からも、マイクロメーターを守ることができるのです。
少なくとも、何もケースに入れない裸の状態での保管は避けるようにしましょう。
今回のポイントをまとめますと、以下のとおりとなります。
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