六角レンチってたくさん種類があるけれど、どういうものを買ったらいいか教えてください。
このような疑問についてお答えしていきます。
私は現在、機械メーカーの設計職として働いています。
設計とは言いつつも、研究開発の時の装置の組み立てや、小ぶりの治具などの組み立ての際には、自ら工具を手に持って組み立てを行います。
組み立ての作業が効率よく進むかどうかは、作業性の良い工具を持っているかどうかに大きく左右されます。
特に使用頻度の高い六角レンチは、六角穴付きボルトを施工する上で必要となる工具ですが、ケースバイケースで使い分けができると、作業の進み具合が全く違います。
そこで今回は、この六角レンチについて、初心者にオススメのものから、中上級者にオススメものもまでを、今回はご紹介していきます。
初心者でも熟練のプロの人でも、1つは工具箱に入れておきたいレンチを紹介します。
ホームセンターに売っている低価格のものや、100円均一などで販売されている六角レンチは、比較的小ぶりですが、この小ぶりの六角レンチは想像以上に便利です。
ボルトを締めたり、緩めたりするにあたって、十分な工具のスペースがあるとは限りません。
ですが、小ぶりの六角レンチであれば、非常に多くのケースに適用させることができます。
特に、IKEAやニトリの家具を組立てる程度であれば、
この低価格の六角レンチが1セットあれば十分です。
六角レンチのセットを購入しようとした時に、ホルダーが「リングタイプ」のものと「穴に引っ掛けるタイプ」のものがあります。
ですが、六角レンチのホルダーは、穴に入れて引っ掛けるタイプのものの方がおすすめです。
穴に入れて引っ掛けるタイプでは、各六角レンチの太さがホルダーに表記されているからです。
そのため、ボルトのサイズに対するレンチのサイズを覚えておけば、すぐに適切なレンチを選択することができます。
リングタイプのものですと、レンチサイズが書かれていないこともあるため、
「だいたいこれぐらいのサイズかな・・・。(六角穴にレンチを挿入して)あ、もう一回り小さいやつじゃなきゃだめだった!」
というのが頻繁に発生するため、工具を選ぶだけでかなり煩わしい思いをします。
小ぶりの六角レンチは、小回りが効く反面、デメリットもあります。
それは、締め付けの際に大きなトルクをかけにくいということです。
ボルトに与える締め付けトルクは、
「六角レンチを回そうとする力」×「六角レンチの柄の長さ」
で決まります。
小ぶりの六角レンチは、柄が短いことで、ボルトに与えるトルクが小さくなります。
そのため、締め付けに大きなトルクが必要な、サイズの大きいボルトの締め付けには不向きです。
ボルトを締めたり、緩めたりする作業において、「ボルトに工具を挿入する時間」が最も手間がかかる作業です。
通常の六角レンチでは、六角形の向きを、ボルト側と工具側とで角度を合わせる必要があり、かなりの手間となります。
しかし、以下の工具を使用することによって、この手間を大幅に削減させる必要があります。
ボールポイント六角レンチとは、六角レンチの柄が長い側の先が、ボール状になっているものです。
ボールポイントになっていることによって、六角穴に六角レンチを差し込む際、多少角度がついた状態でも、六角レンチを差し込み、ボルトを締めたり、緩めたりすることができます。
多くの場合は、ボルトに対して工具が20〜25°程度斜めになってしまっていても、ボルトを締め付けることができます。
中でもSK11のボールポイント六角レンチは、サイズごとに色分けされているカラフルなデザインで見分けもしやすく、かつ値段もお手頃なのでオススメです。
ボールポイントは、ボルトの六角穴への挿入がラクである反面、六角穴との噛み合わせが甘くなるというデメリットがあります。
そのためボールポイントでは、大きなトルクをかけようとすると、ボルトの穴と工具とが滑ります。
例えば、締めたいボルトが奥の方にあり、普通の六角レンチの短い方が入らないという状況では、ボルトを本締めするときに、大きなトルクをかけることができません。
特殊な工具があれば締付けられるのですが、もしそのような工具が手元にない緊急時は「六角レンチの柄が短い側に、鉄パイプを差し込んでボルトを締める」という、裏ワザをよく使います(適切な使い方ではないため、たまに怒られますが・・・)
ですが、ボールポイントの六角レンチでは、この裏ワザが使えません。
それどころか、ボルトの穴と工具とを滑らせてしまうと、ボルトの穴がなめてしまう危険があります。
ラチェットレンチとは、ラチェット機構を応用したレンチのことです。
ラチェット機構とは、一方向に回した時には歯車が噛み合い、逆方向に回した時には歯車は噛み合わずに空回りをするという機構です。
ラチェット機構が使われているおかげで、
ボルトを締める方向に回すと、レンチの中の歯車が噛み合ってボルトを回すことができますが、
ボルトを緩める方向に回しても、レンチの中の歯車が空回りをしてボルトが回転しません。
この機能は、逆にすることもできます。
ラチェットレンチは、ボルトにレンチをかけ直す必要がないため、高速でボルトを締めたり緩めたりすることができます。
さらに、かけ直す必要がないということは、レンチの回転角が確保できないような狭いスペース(例えば、30度ぐらいしかレンチを回せないような所)でも、ボルトの施工を行うことができます。
ラチェットレンチは、先端に「ソケット」というアダプターを取り付けます。
ソケットの形状は六角形の棒だけではなく、十字穴やマイナス穴のタイプもあります。
そのため、ソケットを変えるだけで様々なネジの施工に対応することができます。
ただし個人的には、通常使用する上では、ラチェットレンチよりは、ボールポイントの方が使いやすいと感じます。
なぜなら、仮締めや、ボルトを緩める時に使うと、ラチェットを空回りさせようと思っても空回りせず、ボルトと供回りしまうからです。
ボルトがある程度緩んでいる状態であれば、ラチェットレンチを取り外し、手で回した方が早くできます。
先ほど紹介したラチェットレンチですが、ラチェットとソケットとの間に「エクステンション」と呼ばれるジョイントを接続することで、手の届きにくい場所にアクセスをすることができます。
エクステンションには様々な種類があり、
単にレンチの長さを延長できるものから、
ラチェットとソケットとの角度をある程度つけることができるものまであります。
通常の六角レンチと比較すると使用頻度は少なめですが(手の届きにくいボルトがたくさんあったら、設計としてまずいですから・・・)、
所持しておくと、いざというときに助けられることがあります。
一般的な六角レンチはL字ですが、こちらはT型の六角レンチです。
L字の場合、レンチの柄が短いとボルトを強く締め付けることができませんが、
T字では、力をかける部分が2箇所あるので、両手の力を使ってボルトをしっかり締め付けることができます。
ただし、T字の六角レンチは収納の際にかさばりやすく、持ち運びは非常に不便なことには注意が必要です。
これは、アストロプロダクツという工具専門店で購入ができる工具です。
六角レンチの、柄が長い部分と短い部分との固定箇所を変更することができるため、L字レンチとしても、T字レンチとしても利用することができる便利商品です。
ちなみにこの商品は、私が妻と結婚をした際に、知り合いの方にお祝いとしていただいたもので、今でも愛用しています笑
いかがでしたでしょうか。
六角レンチの機能は「六角穴付きボルトを施工する」というだけではあるのですが、ケースバイケースに対応できるようにするために、複数の種類を所持しておくことをお勧めします。
最近では、インテリアとしても使えるような工具も販売されていたりします。
工具に対して、硬っ苦しいくて、男臭いイメージがあるという方にはおすすめです。
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