【解説】ねじ・ボルトを締めると部品が固定される原理

ねじ 更新:
細目ねじ
この記事を読むべき人

  • 普段、なんとなくテキトーにねじを締めている人
  • なぜかわからないけど、ねじを締めるのが苦手な人
  • 「ねじって気がつくと緩んでるんだよなー」と感じている人

こんちには、リヴィです。

ものづくりにおいて、最も多く使用される部品は、機械要素の中でも群を抜いて「ねじ」です。

具体的に数字を見てみると、機械に使われている部品の中でも、ねじが占める割合は約20%とダントツの1位とのことです(以下のグラフは、家電・OA機器・EV・精密機械などの傾向業製品を調査した結果)。

國井良昌著,ねじとばねから学ぶ! 設計者のための機械要素より

ねじの用途はいくつか挙げられるのですが(詳しくはこちらの記事を参照)、中でも圧倒的に多いのが「部品を固定する」という用途です。

リヴィ

機械についてめちゃくちゃド素人の人でも、一度はドライバーを使ってクルクルねじを締めたことがあるのではないでしょうか?ガジェットとか子ども用おもちゃの電池交換するときなんかに使いますよね!

ただ、ここで一旦冷静なって考えてほしいのですが、ねじを締めるとなぜ固定ができるのでしょうか

  • 穴にねじが刺さっているから?
  • ねじで部品を挟んでいるから?
  • そういうものだから?

これについてうまく答えられない人は、おそらく一度は「気がついたらねじが緩んでんじゃん!もしかして壊れた!?」ってなったことがあると思います。

リヴィ

「ねじが緩んだ」=「壊れた」ではありません笑(うちの嫁にも、何度説明したことか・・・)。

これについて理解していないと、ねじを締めたつもりが、いつの間にか緩んでいるということを繰り返したり、

ただのねじの締め方の問題なのに「なんかこれ、もう壊れたんだけど!?」と騒ぐ羽目になってしまいます。

「ねじを締めるとなぜ固定できるのか?」という原理を知っておくことで、ねじをどういう感じで締めたらいいのかを理解することができるので、

ねじに対してイライラする事がなくなります。

そこで今回は、ねじやボルトを締めると、なぜ部品が固定されるのかという原理について、わかりやすく解説していきます。

なるべく難しい話をせず、超初心者にもわかりやすく解説していますので、是非最後まで読んでいってください。

なお、超初心者向けへの解説のため、一部正確ではない言葉遣いをしていますが、その点はご承知おきください。

前知識

ねじの固定の原理について説明する前に、とっっっても重要な前知識がありますので、それについて解説します。

前知識1:ねじは締め込むと伸びる

実はねじを適切に締め込むと、ねじは少しだけ伸びます

なかなか腑に落ちにくい部分だと思うので、少し丁寧に説明をしていきます。

  1. ボルトを手でくるくる締め込んでいくと、ねじがものに接触する
  2. 更に締め込もうとしても、ねじの下半身は奥に進もうとする反面、ねじの上半身はものに引っかかって奥に進めない
  3. それでもドライバー(工具)を使って締め込むと、ねじの下半身(らせん状の部分)が伸びるように変形し、奥へ進む

ねじは最初のうちは指でクルクル締められますが、それも「1.」までです。

ねじを適切に締め込むためには「3.」までこなす必要がありますが、そのためにはドライバーやレンチといった工具が必要です。

リヴィ

素人の人を見ていると、「1.」の段階でねじを締めるのをやめていることが多いです。見た目ではねじが締まっているのですが、それだと、ねじがすぐ緩んでしまいます・・・

前知識2:部品には、力が加わると元に戻ろうとする性質がある

それは「部品には、力が加わると元に戻ろうとする性質がある」ということです。

リヴィ

これを、「弾性力」と呼びます。

「力が加わると元に戻ろうとする性質がある」ことについて、最もわかりやすいのはゴムです。

輪ゴムの両端を掴んで「ビヨーン」と伸ばしていけばいくほど、輪ゴムは元の形に戻ろうとして、引っ張られる力に抵抗しようとします。

そして手を離すと、輪ゴムは「パチンッ」と音を立てて元に戻ります。

実はこれ、ゴムだけに限らず、金属やプラスチックなどにも同様のことが起こっています

え?金属やプラスチックが「ビヨーン」って伸びるわけ無いじゃん!

確かに普段の感覚とは合わないと感じる方が多いと思います。

ですが、実は金属やプラスチックも、引っ張られたりすると「ちょっっっとだけ」伸びたりしています。

金属やプラスチックは、ゴムと比べると硬いので、伸びたとしてもわかりにくいのです。

リヴィ

輪ゴムを1cm伸ばすのは簡単ですが、鉄を1cmのにはマッチョなお兄さんでも難しいです・・・

ねじ締付けの原理

では以上の前知識を踏まえて、ここからねじ締付けの原理について解説していきます。

まず、「前知識1」にある通り、「3.」のねじが伸びる程度までねじを締め込みます。

ねじが少し伸びる程度まで締め込んだとき、「前知識2」を思い出してください。

力が加わると元に戻ろうとする性質がある」というのは、ねじも例外ではありません。

伸びたねじは、元に戻ろうとするため、縮む方向、つまり「ものを挟む方向」に力が発生します。

これによって、ものはガッチリと固定されるのです。

あれ?ねじを伸ばすのは、マッチョなお兄さんでも難しいんじゃないの?

そうです。人間の力では、ものをガッチリ固定できるほどねじを伸ばす力(元に戻ろうとする力)を発生させることができません。

リヴィ

「天井にあるナットをつまみながら、短編小説一冊を気軽に読み終えられるほどの握力」があれば、話は別ですが笑

そこで登場するのが、「ドライバー」です。

ドライバーは皆さんご存知のとおり「ねじを回すことで、ねじを引き伸ばす道具」です。

ドライバーという道具を使うことで、ねじを引き伸ばす程の強力な力を、誰でも発揮できる様になるのです。

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なんか話を聞いているとすごい大げさに聞こえるんだけど、それって建物とかに使われているようなレベルの話でしょ?オレが知っているねじってすごいちっちゃいよ?

いいえ、ねじの力をあなどってはいけません。

ねじによる固定の力ですが、実はものすごい強力です。

なんと、家電製品やパソコンなどに使われているような小さいねじでも、ねじ1個あたり数百キロ単位の固定力が働きます。

リヴィ

ねじを使うとかなりガッチリ固定できることもあり、ねじが広く使われている要因の一つにもなっています。

注意点として、ねじを締めていったときに、部品から「メリッ」みたいな音がしたら、それは締めすぎの証拠なので注意しましょう。

ねじでの固定に向かないもの

ここからは、ちょっとした補足です。

あらゆる場面で使われているねじですが、それでもねじは決して万能ではありません。

実はねじには、固定をするのに不得意な用途も存在するのです。

簡単ですが、以下にねじの不得意なものについて紹介していきます。

  • 硬くて脆いもの(ガラス、石などなど)
  • 柔らかすぎて変形しやすいもの(粘土など)
  • 薄いもの(紙・フィルムなど)
  • ボロボロに崩れやすいもの(土壁など)
  • ねじが露出してほしくないもの
  • 丸いもの
  • 表面の凸凹が激しいもの
  • 錆びているもの
リヴィ

製造業の業界でも、「ねじが不得意なところに無理やりねじを使ったせいで、不具合が起こる」ということはしばしばあります。

このような場合、なんとかねじが使えるように工夫をしたり、ねじ以外の固定方法について考えたりしながら解決することが多いです。


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りびぃ

この記事を書いた人

機械設計エンジニア: りびぃ

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