扇風機を組み立ててるときにふと思ったんだけれど、扇風機の羽根を固定するキャップって、なんで普通のねじとは逆回りで締まるの?
このような疑問を持った人へ、お答えしていきます。
世界で普及している99.9%のネジは、右(時計回り)に回すとネジが締まります。
しかし、扇風機の羽根を固定するためのネジは、
左(反時計回り)に回すとネジが締まります。
さて、なぜこんな特殊なことをしているのでしょうか?
これには、ちゃんとした理由があります。
結論は緩み止めです。
扇風機の機種にもよるようですが、
私の家の扇風機の羽根は、右に回ります。
そのため、その羽根を抑えるキャップは、緩まないために逆ネジになっています。
扇風機の羽根が付く軸が右回りで回転するとき、キャップにはどのような力がかかるでしょうか。
キャップと軸とが同じ回転数で回っている際は、回転方向に対して力は働きません。
しかし、扇風機のスイッチをONした瞬間というのは、状況が違います。
まず、軸はモータとつながっていますので、軸はモータから回転力を受けることで回ります。
一方キャップは、モータではなく、軸とつながっていますので軸から回転力を受けることで回ります。
ではキャップは、軸からどのように力を受けているのでしょうか?
それを説明したのが下の図です。
扇風機をONした瞬間は、軸はモータから回転力を受けて回り始めますが、キャップは停止したままです。
この状況は、軸を固定して、キャップを左回転させた状況と同じとなります。
高校の物理で習う「相対速度」の話と一緒です。
そのため、キャップを左ネジにすることによって、扇風機をONした瞬間に受ける力の向きが、
ネジの締まる方向になるというわけです。
もちろん、キャップが受ける力の大きさは、軸の角加速度に依存しますので、
扇風機の始動をゆっくりにすれば、キャップは緩みにくくなります。
しかし、一秒でも早く涼みたいときに、風が来るまでに時間がかかると、イライラしますよね?
F1に使われているタイヤの固定は、タイヤの交換時間を短くするために、
タイヤの回転軸にナット1つだけで止めています。
これを「センターロック方式といいます」
F1は、競技中に急発進・急ブレーキを繰り返し、特にブレーキの際に大きな力がかかります。
ブレーキングの際には、車軸は回転を止めようとしているにもかかわらず、
ナットには慣性力が働き、減速が終わるまで回転力がかかり続けます。
この回転力の向きが、ネジの締まる方向になるように、
F1の左タイヤは左ネジ・右タイヤは右ネジで固定されているとのことです。
扇風機は羽根の「回転が始まるとき」、F1のタイヤは「回転が止まるとき」に力がかかるため、
その力の向きを考慮して、左ネジが使われいます。
ちなみに、F1のタイヤの交換にかかる時間は、およそ2秒です。
めちゃくちゃ早いです・・・
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