こんにちは!リヴィです!
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ねじは、機械に使われているさまざまな部品の中で、最も使用頻度が高い部品です。
機械に使われている部品の中でも、ねじが占める割合は約20%とダントツの1位とのことです(以下のグラフは、家電・OA機器・EV・精密機械などの傾向業製品を調査した結果)。
私たちがよく知っているねじといえば、ドライバーで回してねじ込んで固定するものですよね。
家具の固定に使われていたり、スマホやゲーム機などの機器に使われていたりと、色んな場面で見受けられますよね!
ですが、ねじの役割や機能は、そういったものばかりではありません。
そして、全く同じ形をしたねじでも、目的やその使い方により、役割が全く異なるものとなります。
そのため機械設計では、ねじを上手く使いこなせるかどうかが、装置の品質を高めたり、施工性やメンテナンス性を高めたりできるといっても過言ではありません。
そこで今回は、ねじの役割や機能について解説していきたいと思います。
この記事を読んで、機械の設計をする際にスマートに使いこなせるようになっていただければと思います。
ねじは基本的に、「おねじ」と「めねじ」とを噛み合わせて使用します。
ここで「おねじ」と「めねじ」という言葉ができてきましたが、これはねじを大きな分類で種類分けしたときの呼び方です。
おねじとは「棒材の外側にらせん形状が刻まれたもの」のことを言います。
例えば、皆さんがよく知っているような、ドライバーでクルクル回してねじ込む部品も「おねじ」の仲間です。
ちなみに、このような部品は「ビス」とか「ボルト」とかと言われたりもします。世間一般的には「ねじ」というと、ビスやボルトのことを指すことが多いですね!
それ以外にも、身の回りには様々なおねじが存在しています。
一方で、めねじとは「穴の内側にらせん形状が刻まれたもの」のことを言います。
例えば、ボルトとセットで使われるナットも、「めねじ」の仲間です。
ねじは、どちらか一方だけで使うということはしません。
「おねじ」と「めねじ」のらせん同士が噛み合うことによって、ねじは役目を果たすことができるのです。
ただ、おねじとめねじは1対1である必要はなく、おねじ1個に対してめねじを2個使う場合も多いです。
ねじの使い方として、「おねじを回して、めねじにねじ込む方法」と、「めねじを回して、おねじにねじ込む方法」の2種類があります。
前者は、ドライバーでビスをねじ込むような動作が挙げられます。
このとき、めねじ側の部品は、ビスねじ込む時につられて回らないように、反対の手で固定して使います。
後者は、ペットボトルのキャップを閉める動作が最も身近です。
ペットボトルは、キャップ側がめねじになっています。
ペットボトルのキャップは、おねじ側であるボトルを反対の手でしっかり握ったまま、中の飲み物がこぼれないようにしっかり締めます。
これは、機械部品のボルト・ナットでも同じことが言えます。
ボルトを回して使う方式にするのか、ナットを回して使う方式にするのかは、周囲の状況や作業性等をしっかり考えた上で選択できるようにしましょう。
ねじ最大の特徴と言っても過言ではないのですが、「回転」を「直動」に変換して使用します。
一見当たり前のように思えるのですが、「ねじ」ほど簡単に、回転を直動に変換できるものは他にはないです。
また、変換された直動の力は、非常に強力なものとなります。
例えば、比較的小さな部品に使うようなM3のボルトでも、締込むと軸力(部品を固定する力)は105kg相当になります。
その一方で、「直動」を「回転」に変換するような使い方はしません。
なぜなら、直動→回転の変換が発生しないように、ねじのらせん形状がJIS(日本産業規格)で決められているためです。
もし「直動」→「回転」の逆変換が起こってしまうと、ペットボトルのキャップを上に引っ張っただけで開いてしまう事になってしまいます。
おねじの部品とめねじの部品とをセットで使うケースも多いですが、「おねじが自らめねじを作るねじ」も存在します。
これは、タッピングねじと呼ばれるねじで、自宅で壁にねじを施工するときによく使うものです。
タッピングねじは壁に食い込んでいけるよう、先端やらせん形状の部分が普通のねじよりも鋭く尖っています。
ドライバーなどでねじ込んでいくと、この鋭く尖った部分が木材を削っていきながらめねじを形成していきます。
機械設計で、木材を使うことは稀だとは思いますが、樹脂や柔らかい金属に対してはタッピングねじを使うことがあります。
タッピングねじは、「自らめねじを形成してねじ込む」ことが前提で作られている部品でs。そのため、タッピングねじを取り外した穴に、再度タッピングネジを取り付けることはやめたほうが良いです。すでに一度使った穴を再利用すると、ねじが緩みやすくなります。
おねじまたはめねじを締め込むことで、部品を固定することができます。
ボルトの頭が接触するまでねじを締め込んでいくことで、ボルトのねじ部と、ボルトの頭の部分とで摩擦力が発生し、これによって挟まれた部品は固定されます。
詳細を以下の記事で解説していますので、よろしければご覧ください。
https://rivi-manufacturing.com/principle_of_fixed_parts_by_bolt/
ねじは、ちょっとずつ締込むことも可能です。
そのため、例えば配管フランジのように「均等な力で締め付けたいとき」などに有効です。
配管フランジの取り付けは、一見すると、単にボルトをたくさん締めていけば良いように思えるのですが、それではNGです。
まず、配管フランジのねじ締めは、それぞれ均等になるように少しずつ締めていかなければなりません。
なぜなら、ねじの締付け力が偏ってしまうと、締め付け力の弱いところに圧力がかかった際に、そこから流体が漏出していってしまうためです。
イメージでいうと、まずボルト全数を70%の力で締め込んでいき、次は全数を85%ぐらい、最後に100%ぐらいとちょっとずつ締め込んでいく感じです。最初から1本1本を100%の力で締めると、漏れの原因になります。
万力・バイスは、部品を加工する時に、部品を固定するために使う工具です。
おねじのところにハンドルが付いており、これをくるくる回すことで、部品を挟み込むことができます。
工具を使わず、手で締めて固定するだけなのですが、固定された部品はビクともしない程になります。
そのため、適切に固定されていれば、ドリルで穴あけをするにも、ドリルの回転力で部品が飛んでいってしまうことはありません。
いもねじ・セットスクリューは主に「軸に対して使う、ねじ頭のないおねじ」のことを言います。
ねじ頭がなく、「芋」や「イモムシ」に似ていることから、その様に呼ばれるようになったとも言われております。
いもねじの使い方は主に2つあります。
一つは「軸が回転しないように固定する」、もう一つは「軸と一緒に回転するように固定する」です。
いもねじが軸に当たる部分は、しばしば平面を加工して使用します。これを「Dカット」と読んだりします。
おねじが移動しないように固定した状態でおねじを回すと、おねじ上でめねじを移動させる事ができます。
これを利用したものに、以下の例があります。
ボールねじとは、おねじを加工した軸と、専用のナットとのセット部品のことを言います。名称に「ボール」という言葉が使われている通り、おねじとめねじとの間にボールが入っています。
使い方ですが、まずおねじの両端をベアリングで受けることで、おねじの直動を拘束しつつ、回転はできる状態にしておきます。
そのおねじを、モータ等を使って回転させることで、専用のナットや、ナットの上に固定したものを直線移動させることができます
ボールが入っていることで、精度良く、非常に滑らかに動作させることができます。
半導体分野で使う機械のような、機械の精度が必要なところに使われることが多く、めねじの移動位置を0.01mm単位でコントロールすることができます。
マイクロメーターでは、回転力を小さな直動に変換することで、測定子をちょっとずつ移動させるような仕組みになっています。
マイクロメーターとは、ものの長さを高精度に測定するための測定器です。
一般的なマイクロメーターは1/100mm刻みで目盛りが振られているので、コピー用紙1枚の厚さを測ることも可能です。
種類はさまざまあるのですが、一番有名なマイクロメータはU字の間に部品を挟んで測定するタイプのものです。
マイクロメーターの詳しい使い方については、以下の記事で解説しているので、よろしければ参考にしてみてください。
なお、マイクロメーターの微調整の機構、および目盛りを他の部位に活用させる目的で、マイクロメーターのヘッドのみという商品も販売されております。
コンベアのベルトやチェーン、ワイヤをピンと張るのに、ボルトが使われます。
これらの部品の共通点は「適切な張力が加わっていることで機能を発揮するもの」ということです。
コンベアでは、ベルトやチェーンに張力を与えるために、ローラやプーリー、スプロケットをボルトで引っ張ります。
このようにして使われるボルトは「調整ねじ・アジャストボルト」などと呼ばれています。
また、ワイヤーやロープの場合には、ターンバックルと呼ばれる部品が使われます。
ターンバックルのねじを回すことで、ワイヤーやロープの張り具合を調整することができます。
建築現場でフレームの補強に使われたり、プロレスのリングのロープを張るのに使われていたりします。
ねじがねじ込まれる時の力が強力であることに着目をして、
自動車の整備や修理をする時、整備士の人が車の下に潜り込めるように、車を持ち上げます。
その時に使われるのが「パンタグラフジャッキ」です。
構造は至ってシンプルで、パンタグラフジャッキを車の下に潜り込ませてねじを回すだけで、簡単に車が持ち上がってしまいます。
大掛かりな設備や工具は不要なので、とても便利です。
普通の自動車でも、重量は1.5tonぐらいはあります。それをねじ1本で持ち上げられるので、やはりねじの力はすごいですね!
「ねじの力を使ってものを潰す」ということをした装置に「スクリュープレス」があります。
ねじにはボールねじを使っていることが多く、ナットにはプレスの金型をセットしておきます。
回転力をボールねじに伝え、金型でワークをプレスすることで、曲げ加工や絞り加工、打ち抜きなどをすることができます。
プレスの仕様には「〇〇ton」と書かれている事が多いですが、これは「〇〇ton相当の力で潰すことができる」ということを意味しております。
プレスは、ワーク短時間で大量生産をする加工が非常に得意なため、自動車業界も含め、現在でも幅広く活躍しております。
なお、ねじに回転力を伝える部分にサーボモータを使ったプレスを「サーボプレス」と言います。
内部から流体が漏洩しないようにするために、配管やタンクの取り合い、継手などにもねじが使われます。
流体が漏れないようにしつつ、何度も開け閉め、付け外しするときにとても便利です。
ペットボトルに使われているのはもちろんですが、水道の配管や高圧配管の場合は普通のねじでは漏れ出てしまいます。
そのようなときには、配管用ねじを使用します。
管用ねじには2種類あり、ねじ部の径が先端に行くほど細くなっている「管用テーパねじ」と、ねじ部の径がどこも変わらない「管用平行ねじ」とがあります。
どちらのねじも、普通のねじとは違う専用のねじとなります。
ちなみに、テーパねじを使う際にはねじ部にシールテープを施工、平行ねじを使う際には間にガスケットを挟むことをお忘れなく!
流体の「量」や「圧力」を調整する部品を「弁・バルブ」とか「蛇口」と言いますが、これにもねじが使われています。
最近の家庭用の水道はレバー式なのでねじは使われていないですが、公園にある蛇口式の水道に使われています。
蛇口をねじ込むと水が出なくなり、蛇口を反対に開放すると水がたくさん出るようになります。
今回のポイントについてまとめると、以下の通りとなります。
今回は以上となります。ご一読、ありがとうございました。
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