ノギスって、どんな種類があるのか、それぞれの特徴は何かについて教えて欲しい。あと、これからノギスを買おうとしているけれどもおすすめがあったら教えてください。
このような疑問・悩みを持った人へ、お答えしていきます。
そこそこの精度で手軽に寸法を測定することができるのがノギスの特徴です。
最も一般的なノギスは「M型のアナログノギス」というもので、ジョウが2つと、デプスバーが1つついており、ができるものです。
しかし実際にAmazonやモノタロウなどのショッピングサイトを見てみると、アナログ以外にもさまざまなノギスの種類が販売されていることがわかります。
もちろん、アナログノギスよりも断然便利かつ精度が高いノギスもあり、このような器具を使用することで、正確かつ効率よく寸法測定を行うことができます。
そこで今回は、ノギスの種類とそれぞれの特徴についてお話しし、ご自身にあったノギスの選定の手助けができればと思います。
本尺に主尺、スライダーにバーニア(副尺)がそれぞれ刻まれているノギスです。
主尺とバーニアとの目盛りを使って、測定値を読み取ります。
バーニアには、19mmの長さを20分割した「普通バーニア」と、39mmの長さを40等分した「ロングバーニア」とがありますが、前者の方が普及しています。
普通バーニアの場合の、測定値の最小単位は0.05mmとなります。
アナログノギスで測定値を読み取る際には、目盛りに対してまっすぐな視線で読むことが大切です。
主尺とバーニアとの間には段差があるため、角度がついた状態で目盛りを読んでしまうと、本来の測定値からズレた結果となってしまうのです。
このような、視線の角度によって発生する、目盛りの読み値の違いのことを「視差」と呼びます。
大きなアナログ式のダイヤルがついたノギスです。
このダイヤルは、アナログノギスでいうバーニアと同じような役割ですが、アナログノギスよりも高精度に測定結果を得ることができます。
アナログノギスよりも最小読み取り単位が小さく、1/100mmまたは2/100mmとなっております。
このダイヤルは、一周が100目盛りとなっており、「スライダーの左端の目盛り」+「ダイヤルの目盛り」が「測定値」となります。
ただし、ノギスを測定対象物へ押し付ける際の力加減次第で、1/100mmや2/100mm程度は簡単に変化するので、あまりノギスに厳密さを求めすぎるのは好ましくありません。
最近よく出回っている、デジタル表示のノギスです。
デジタルノギスのメリットは何と言っても、操作や扱いが非常に簡単です。
例えば、バーニアを読まなくても測定値が表示されるので、バーニアの読み方がわからない素人でも扱えますし、
老眼で目盛りが読みにくいという人にとっても、測定値がデジタル表示で大きく表示されるのはありがたいです。
精度の良いデジタルノギスは1/100mm単位で測定値を表示してくれますが、そもそも誤差が±0.02〜0.03mm程度はあるので、測定結果の過信は禁物です。
さらに最近のデジタルノギスは、測定した値をその場でPCなどへ転送ができるということです。
そのため、測定値を忘れたり、測定値をメモしたものが字が汚くて読めなかったり、メモを無くしたりということがなくなります(初歩的なミスですが、これによって再測定をする羽目になったのを私は何度か経験しました)。
一般的なノギスは汎用性がありますが、特異な形状や状況での測定には適さない場合があります。
そのため、そういった特異な形状や状況での測定に適した特殊なノギスがいくつかあります。
ここでは、全てを紹介しきれませんが、特殊なノギスのいくつかをご紹介します。
通常のノギスでの外側測定は、外側用ジョウと測定対象物との接触面積が少なく、ノギスのあたりが斜めになりやすいという欠点がありました。
そこで、外側用ジョウの形状を、測定対象物との接触面積が大きくなる様にした形状のノギスがあります。
このノギスは通称「C形ノギス」と呼ばれ、C形ノギスにさらに微動送り機構が備わったノギスは「CM形ノギス」と呼ばれています。
C・CM形ノギスにはジョウが片方にしかついていないため、穴の内径測定や深さ測定ができません。
また、スライダーの上部と下部とで目盛りが二軸刻まれており、内側寸法をする際には上部の目盛りを、外側寸法をする際には下部の目盛りを使用します。
どちらかというと非常に大きな部品の測定に使われることが多く、それによってノギスも大きくなるため、軽量化のためにカーボンファイバーを使用しているものもあります。
ちなみに下の製品は、測定対象物との接触面積を大きくすることに特化し、外側用ジョウで外側寸法と溝幅寸法とを測定可能にしています。
測定したい外側寸法が段違いであった場合に適するノギスで、通称「オフセットノギス」と呼ばれています。
普通のノギスで外側測定をしようとすると、段に干渉してしまい、うまく測定ができない場合に有効です。
材料にあいた穴のピッチを測定するのに適したノギスです。
穴でいうピッチとは、穴と穴との間隔や距離のことをいいます。ちなみに、ねじでいうピッチは、隣り合うねじ山の距離のことを言いますので、混同しないよう注意してください。
ジョウの先端が円錐になっているので、ジョウの先端を穴に入れると、穴の中心を捉えることができます。
また、マイクロメーターを使った穴ピッチの測定と比較して、より穴ピッチが広い場合でも測定ができるというメリットがあります。
もし今からノギスを買おうとしている方がいれば、基本的にはデジタルノギスが良いかと思います。
理由は、他のノギスに比べて使い方が簡単だからです。
さらにデジタルノギスの中でも、次のようなノギスをおすすめします。
標準的なノギスはステンレス製なので、見た目以上に重く扱いにくいです。
そのため、カーボンファイバー製でできた軽いノギスが使い勝手がよくおすすめです。
このノギスは、ソーラーパネル付きなので、電池の交換や充電の手間がかかりません。
カーボンファイバー製のノギスは軽くて安いですが、最小読み取り単位が0.1mmでかなりあらいというデメリットがあります。
おそらく、カーボンファイバーの部品は、高精度で部品が作れないためであると思われます。
そのため、あくまで参考値用として使用するのが無難で、このノギスの測定値を正式な検査記録に残すのは避けた方がいいです。
ノギスに精度を求める(0.01mm単位)のであれば、どうしても金属製であるノギスとなってしまいます。
その中でも比較的軽くて取り扱いしやすいノギスがこちらのノギスです。
少々値段が高くなりますが「HOLD機能」という便利な機能もついております。
HOLD機能とは、測定結果の表示を保持してくれる機能です。例えば、ノギスが測定対象物に対して適切に接触させることができたとしても、ディスプレイの表示が見えないと意味ないですし、かといって下手にノギスを動かしてしまうと、ジョウが動いてしまう恐れがあります。そういったときにHOLDボタンを押すことで、ジョウをどれだけ動かしても測定結果が保持されるので、測定対象物からノギスを外して、落ち着いて結果をみることができます。
逆に下手に安い物を買うと、簡単に壊れたり、電池の消耗が激しかったりするので、結局費用がかさむことになってしまいますからね。
ここで紹介したノギスは、器差が±0.03mm程度あります。
器差というのは、ノギスの測定結果と実際の寸法との差、つまり測定器具に由来する測定誤差のことを言います。
そのため、どれだけ誤差に注意をして測定をしたとしても、この程度は値がばらつくということになります。
ただ、ノギスの器差については、1/100mm代であればそこまで気にする様なレベルではないと、個人的には思います。
アナログのオールステンレス製のノギスですら、最小読み取り単位が0.05mmですからね。
そもそも1/100mm単位での正確さが必要な測定では、アッべの原理に従っていないノギス用いた測定は好ましくなく、マイクロメーターの方が適しています。
カーボンファイバー製ではない、普通のプラスチックでできたノギスも存在します。
ですが、個人的には普通のプラスチック製のノギスはおすすめしません。
なぜなら、普通のプラスチック製のノギスを使うぐらいなら、鋼尺を使うのと大して変わらないからです。
これについてはカーボンファイバー製にも言えることですが、プラスチック製の製品は製作精度が金属に比べて悪いです。
ちなみにカーボンファイバーは、炭素繊維をプラスチックで固めたものですので、もちろんプラスチックの一種です。
製作精度の悪い測定器は信頼性が低く、例えば10.0mmの部品を測定しても、10.3mmなどという測定結果が出てしまいます。
そのためか、最小読み取り単位は、ほとんどが0.1mm程度しかありません。
0.1mm程度しか読めないのであれば、鋼尺での測定結果と大して変わりません。
カーボンファイバー製であれば強度は高いですが、普通のプラスチック製はノギスの強度が低いです。
そのため、測定対象物にノギスを押し当てたときに、その押し当てる力次第で測定結果が変化しやすくなります。
また、ノギスを落としたりすると、ノギスが傷ついたり、変形したり、割れたりして、測定器具として使い物になりません。
このようなことを考えると、鋼尺のほうが圧倒的に使い勝手がいいという結論になります。
今回のポイントをまとめると以下のとおりとなります。
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