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こんにちは!はちみつボーイです!
皆さんは「実用新案権」と「特許」の違いをスラスラと答えられますでしょうか?
この二つは似ていますし、実用新案権は特許権の下位互換みたいな扱いも受けますし混在しがちです。ですので、「メーカーに入社したばかりの方は、この二種類の権利の区別が付きづらい」と思います。
私も入社当初は実用新案権と特許権がごっちゃになってました。もちろん特許と実用新案権は異なるものですので、違いを理解して出願の検討をする必要があります。
そこで今回は、開発者が知っておくべき実用新案権と特許権の違いを説明したいと思います!実用新案権も特許権と同様に、開発者の実績として認められるものです。この機会に区別して出願できるよう理解しておきましょう。
なお、以前に特許権の基本を説明した記事を公開させていただきました。まだ読まれていない方はこちらも是非読んでみてください!
まずは実用新案権とは何か?から説明します。
特許庁の説明によると、実用新案権と特許権はそれぞれ以下のように定義されています。
この説明だけでは分かりにくいので、スマートフォンを具体例に考えてみましょう。
スマートフォンで例えると、画面の操作方法や高画質で撮影するカメラの技術は特許権になり、持ちやすい形状やカメラの配置などスマートフォンのデザインは実用新案権となります。特許権は、物だけでなく方法、物を生産する方法の発明が対象ですが、実用新案権は形のある物の考案のみを守る権利です。
実例を見たい方は、特許情報プラットフォーム「J-PlatPat」で検索してみましょう!
代表的な例ですと、お掃除道具の「クイックルワイパー」は花王株式会社が実用新案権として登録したものです。
また実用新案権が権利として認められる要件は、
です。特許権の要件と同じに見えますが、「進歩性」のハードルに関して言うと実用新案権は特許権よりも緩いです。
以下のように定義されています。
特許権には深い専門知識や高度な課題解決の発想が必要ですが、実用新案権は観察からたどり着くちょっとした工夫でOKとされます。なので、実用新案権の方が登録までのハードルは低いとされています。
これまでの話をまとめると、特許権と実用新案権はこの通りに区別できます。
特許権と同様に、実用新案権が登録されると、その考案を実施する権利が得られます。他者にその権利を侵害されないための差止請求や損害賠償請求などが可能です。そのため、企業が競争力を持つために価値ある商品の形は積極的に登録されます。
ちなみにこれは補足の知識ですが、差止請求等の排他的効力を実施するには実用新案技術評価書は必要です。
実用新案技術評価書とは、特許庁の審査官が実用新案登録の有効性を評価した書類のことで、出願後であればいつでも請求することができます。
では次に、実用新案権はどうやったら登録されるかを説明します。
登録までのステップも実用新案権は特許権と比較して緩いです。登録までのステップを特許権と比較してみましょう。
大きな違いは、
です。特に、実体審査が必要なく書類にて要件を満たすことを確認してお金を払うだけで登録できることが実用新案権の特徴です。
特許は実体審査が必要ですので登録までに最低でも一年半以上かかりますが、実用新案権は4~6ヶ月で登録が可能です。
なお、実用新案権は出願して3年以内であれば、同じ内容で特許出願を行うことができます。
ここまで実用新案権と特許権の違いを簡単に説明しましたが、実務においては
ある物の形状を商品に使用する権利を得たい場合、実用新案権と特許権のどちらを出願すれば良いの?
と考えることになります。
更に細かく実用新案権と特許権を比較したものが以下の表になります。
実用新案権は安く・早く権利化することができますが、存続期間は短いし保護も特許権ほど厚くはありません。
ですので、そこまで売上規模が大きくなかったり、ライフサイクルが短い製品に対する考案であれば実用新案権で一旦権利を保護されるケースが多いです。
一方で、売上規模が大きかったり、中長期的に会社のビジネスを支える製品など、絶対に他社には侵害されたくない技術は特許権で保護するべきでしょう。実用新案権として出願した考案も、予想に反して売上が伸びたりロングセラーになりそうなら特許を出願するといった対応を検討するべきです。
どちらで権利化するかは、守りたい形状の重要度、費用や権利化までの期間など総合的に判断しましょう。
今回は、開発者が押さえるべき実用新案権の基本をご紹介しました。
いかがでしたでしょうか。日々の開発活動のヒントになれば幸いです。
読んでいただきありがとうございました。
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