この記事を読んで欲しい人
インバータは、モータの速度を変更することが可能な装置です。
汎用モータ、インダクションモータなどモータの速度変更が可能なので、幅広い分野で使われています。
たとえば、コンベヤ・ポンプ・空調機・送風機など幅広くで使われています。
そんな便利なインバータの基礎知識は知っているが、実践で使用したことがないって人はいませんか。
インバータの使い方を知らないと、無駄な電力消費が増え、電気代が高くなることがあります。また、機器の過剰使用や誤った使用は、機器自体の故障を引き起こす可能性もあります。
電力節約や、効率よく機器を使うためにも、インバータの使い方の知識は必須です。
今回は、インバータの実際の設計時に考えること、現場での調整方法について解説します。
インバータの検討の際に、参考にしてみてください。
インバータを選定する際は、下記の内容で検討します。
まず使用するモータの種類をチェックし、モータに対応しているインバータを調べます。
一例として、「三菱電機 FR-E820-0.75K-1」で解説します。
電源は三相200Vで、容量は0.75KWになります。
次にインバータの容量は、基本的にモータの容量にあわせてください。メーカの取扱説明書に、それぞれのインバータで使用できるモータの容量が書いているので参考にしてください。
最後に使用条件や使用環境をチェックし、特殊な条件の場合はインバータの種類などを変更します。
内容 | 対策 |
インバータの急加減速が必要
高負荷が瞬時的にかかる |
容量の1ランク上のインバータを選定 |
屋外設備など使用環境が過酷 | 耐環境性能が強化されたモデルを選択 |
上記のような具体例の場合は、容量や種類の変更をオススメします。
インバータの使い方によっては、オプションで制動抵抗器を使用します。
モータを急減速したり、大きい負荷で減速させたりする場合は、インバータだけではトリップしてしまうことがあります。その際、制動抵抗器を使用すると、モータの速度を制御する際に発生する余分なエネルギーを効率良く処理できます。
制動抵抗器の選定にあたっては、使用するインバータの種類などによって、メーカの取扱説明書にそって、選んでください。
インバータを配置する場所は、通気性が良く、ほこりや湿気が少ない場所が理想的です。
インバータは熱を発生する部品なので、部品の寿命のためにも設置場所は重要です。適切な冷却と通風を確保するために、インバータの周囲に十分な空間を確保しましょう。
具体的な周囲の温度や空間はインバータの取扱説明書に記載しています。「三菱電機 FR-E820-0.75K-1」を例で記載します。
周囲温度-20~60℃
適切な冷却と通風を確保するために、インバータの周囲に十分な空間を確保しましょう。
また、制御盤内にファンを設置するといった熱対策もあわせて検討すると、部品の寿命にも効果的です。
インバータを使用する時に、ノイズで他の部品に影響を与えてしまうことがあります。
インバータは高周波の電力を制御する際に、ノイズを発生させてしまうからです。このような事例が発生する場合は、ノイズフィルターなどのノイズ対策の対策が必要になります。
主なノイズ発生の実例と対策案は、下記のとおりです。
ノイズ発生の実例 | 対策案 |
近くのラジオに雑音が入ることがある | ノイズフィルタの対策が必要 |
パルスエンコーダの位置ずれがおこることがある | モータの動力線とエンコーダの信号線を分ける
ノイズフィルタを設置する |
インバータと一緒に、ノイズに影響を受けやすい部品を使う場合は、ノイズ対策も忘れずに検討しましょう。
インバータの基本的な操作手順から始め、それに従って設定や調整をしていきます。
またトラブルが発生した場合は、インバータの表示、エラーコードなどを確認し、メーカの取扱説明書にそって対応をします。
現場でのインバータの調整は、効率的に装置を動かすために非常に重要です。
例えばインバータは運転すると、モータが一定速で回転するため、スイッチを入れると急に運転、停止します。機械によってゆっくり運転、停止して欲しい場合は、パラメータで加速と減速の時間を設定することで、スムーズに運転、停止が可能になります。
このように、試運転を繰り返しながら、2と3を繰り返して装置や運転条件にあった最適なパラメータに調整していきます。
インバータの正しい知識をもって、インバータの安全に使えるようにお役立てください。
初心者必見!テスター機器の使い方ガイド