ボルトで部品を固定する場合において、
部品にタップが切ってある(めねじ加工がされている)と、
ボルト・ナット締結にくらべて、以下のような大きなメリットがあります。
ちゃんとした加工場がある場合では、
マシニングセンタという全自動の加工機械などを使いますが、
以下の場合には、手動でタップを切る必要があります。
手回しでタップを切るには、タップ一種であるハンドタップと、タップハンドルを使用します。
という今回は、ハンドタップの使い方についてお話しします。
下穴はキリというドリルで穴をあけていきますが、
下穴のサイズは、切るタップのサイズごとに、目安が決まっております。
下穴の推奨径についてはこちらをご覧ください。
技術資料:ネジ下穴 推奨径
この下穴の位置や角度によって、キレイなタップが切れるかどうかが50%ぐらい決まるので、
焦らず、慎重に穴をあけていきましょう。
なお、初心者の方は勘違いしやすいのですが、
部品に対して、いきなりタップを切ることはできません。
なぜならタップは、円筒形に空いた丸穴の側面にネジを切っていく目的のものであり、
材料に穴をあけられるような形状をしていないからです。
無理にやろうとすれば、穴があかないだけでなく、タップが折れます。
ハンドタップには「先」「中」「上」の3種類があります。
下穴と同様、タップを切る際も最初が肝心なのですが、
この3種類のハンドタップを上手に使うことによって、精度よくタップを切ることができます。
「先」は、タップの先端から9山分を、下穴に挿入しやすくするために削ったタップです。
削られた9山分はタップを切ることができませんが、少しだけ円錐形をしていることで、下穴と軸芯とがあった状態でタップを切ることができます。
ただし、9山分を捨てているため、少ししかタップを切ることができません。
逆に、タップを切る長さが少しでいいなら、「先」だけでも構いません。
続いて「中」は、タップの先端から5山分を、下穴に挿入しやすくするために削ったタップです。
削られた5山分を使って軸芯を合わせられ、かつ「先」よりも少しだけ深くタップを切ることができます。
場合によっては、「先」を使わずに「中」から使っても構いません。
最後の「上」は、タップの先端から1.5山分だけを削ったタップです。
「中」よりもさらに奥まで、タップを切ることができます。
タップハンドルとは、タップを固定して手で回せるようにするためのハンドルです。
ハンドルの真ん中に、T字になるようにタップを垂直に固定します。
タップハンドルの使い方としては、
まずタップを切る母材を万力などで固定し、
ハンドルを両手で回しながらタップを切っていきます。
通常のタップハンドルでは、ハンドルを半回転させるごとに、ハンドルを持ち替えなければならないので扱いづらいですが、
最近では、もっと便利な工具も販売されております。
ラチェット式(自転車のペダルのように、一方向にしか噛み合わない機構)で、ハンドルを持ち替えなくて済むようなタップハンドルや、
ソケットレンチ(ラチェット式のレンチ)で扱えるようにするためのタップ専用のホルダーを使用することで、片手でもタップを切ることができたりします。
タップを切る際は、切削油をつけながら慎重に切っていきます。
タップを少し切ると、固くなったりしますが、
その際は一度タップを戻して、もう一度切っていきます。
タップを戻した時に、切り粉(切り屑)が出てきたら、丁寧にとってあげましょう。
少し切ったら、少し戻す。少し切ったら、少し戻す。・・・の繰り返しです。
タップはとても硬い金属でできていますが、
硬い金属とはいえ、無理にタップを切ろうとすると手回しでも折れます。
折れた場合、ペンチで取り出せればまだよいですが、
最悪は部品を1から作り直しになります。
焦ってはいけませんよ。
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