詳細設計で部品の寸法を決める時って、何を根拠に決めたらいいのかな?例えば、小ぶりのブラケットとか、カバーとかの寸法を決めたいんだけれど、何か目安になるようなものがあるなら、教えて欲しい。
このような悩み・疑問を持った人へ、お答えしていきます。
結論から言うと、材料屋さんに在庫で置いてある材料のサイズを目安にすることが重要です。
普段私は、機械メーカーの設計職として仕事をしています。
機械設計の詳細設計の段階では、すでに基本設計が終わった後になりますので、重要箇所の強度計算や、装置の大まかな寸法は決まっております。
あとは、細々としたブラケットや、カバーを設計することが多いです。これらの部品は、大きな荷重がかかるケースは少なく、強度計算をしないこともしばしばあります。
このように強度計算をしないような部品については「費用が安く、かつ早く入手ができること」などが求められます。
ただし、費用が安く、かつ早く入手ができる材料というのは、どこの材料屋さんでも、ほとんどラインナップが決まっています。
ということは、そのラインナップされている材料のサイズを覚えてしまえば、そこから材料寸法を素早く決められるので、時間がない設計業務の中でも、効率よく設計を進められるようになります。
そこで今回は、よく設計で使われる材料のサイズについてお話ししていきます。
設計をする上で、どのような部品を使うかは、仕様を満たしている限りは自由です。
しかし、費用が安いことや、入手性が良いことから、使用頻度の高い材質はかなり限られます。
特に、ブラケットやカバーでは以下の材質がよく使われます。
この4つの材料について覚えておけば、小物の設計のほとんどで活用することができます。
基本的に部品をつくるときには、まず材料を手配するところから始まります。
材料を取り扱っている材料屋さんには、材質の種類ごとだけではなく、材料の形状ごとにも在庫が置かれております。
設計で寸法を決めるときには、この在庫の中に置いてる寸法のものに基づいていると、加工の手間が省け、部品代が安くなります。
材料の中でも特に板材については、在庫寸法をある程度把握しておくことが大切です。外形の切断や穴あけをするだけでなく、曲げたり溶接したりなどすることができることから、丸棒やパイプなどに比べて使用頻度が高いんですよね。
材料屋さんの在庫として置いている板材は、「鋼板」や「フラットバー(FB)」と呼ばれたりします。
両者の意味がごっちゃになっている場合もしばしばあるのですが、JISでは以下のように定義がされております。
少々わかりにくいですが、鋼板は上下面だけ圧延、平鋼(フラットバー)は上下左右面が圧延といった感じです。
板材の在庫寸法について、鋼板の場合は「板厚」「幅」「長さ」で、フラットバーの場合は「板厚」「幅」でサイズが決められております。
さらにいうと、「板厚」と「幅」の在庫寸法はどこの材料屋さんでもほぼ同じです。
そのため、部品の寸法を決める時には、この「鋼板」や「フラットバー」の在庫寸法の中から材料を購入し、必要最小限の加工で済むようにすることで、費用が安く、かつ短納期で入手することができます。
ここで注意しなければならないのは、在庫寸法は材質ごとに全く異なるということです。
例えばフラットバーで、SUS304で板厚2mmはそこそこ普及しておりますが、SS400で板厚2mmはほとんど普及しておりません。。
設計上、どうしてもSS400の板厚2mmでないとダメな場合は、在庫として置かれている板厚3mmのフラットバーを購入し、1mmだけ機械加工で削ることとなります(加工できるかどうかは別として)。
無駄な加工を要求してしまうと、費用は高くなるわ、納期は延びるわで、コスト面ではデメリットが目立ってしまいます。
よく使う材質の特徴と、具体的なサイズのラインナップをご紹介します。
在庫寸法のラインナップは、どこの材料屋さんでもほぼ同じが基本なのですが、材料屋さんによってはそれ以外のサイズも置いている材料屋さんもあります。
そのため、どうしてもご紹介するラインナップにないサイズが欲しい場合でも、一度材料屋さんに相談してみると良いと思います。
「うちにしか置いていないサイズですよー」的なことを売りにして、各材料屋さんは他の材料屋さんと差別化をはかっていたりしますね。
SPCCは同じ鉄系のSS400に比べて強度が低い一方、曲げや絞り加工がしやすく、材料自身の精度がいい(材料自身がひずんだりしていない)という特徴があります。
SPCCは板厚が最大3.2mmであり、「幅×長さ」は、914mm x 1829mm, 1219mm x 2438mm, 1524mm x 3018mmが基本となっております。
「幅×長さ」のラインナップは一見かなり中途半端な寸法ですが、
実はフィートで表すと、3ft x 6ft、4ft x 8ft、5ft x 10ftとなっています。
製造業界ではこれらのサイズのを「サブロク」「シハチ」「ゴットウ」というように呼ばれています。
SS400とは、Steel Structureの略で、構造用鋼という意味です。400は引張強度が400 N/mm2保証されているという意味です。
昔は応力の単位にkgf/cm2を使っていたことから、昔の図面ではSS41と表記されます。
ただし、引張強度=許容応力ではないので、強度計算をする時には注意してください。
「構造用鋼」という名前にはなっていますが、構造物以外にも使用できます。
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SUS304は、Steel Use Stainlessの略で、ステンレス鋼の代表的な材料です。
304という数字は、引張強度などではなく、数あるSUS材の種類の識別番号のようなものです。
呼び方は「サス サンマルヨン」です。
ステンレスには多くの種類の材料があるのですが、単にと呼びます。「ステンレス」や「サス」という場合には、この材料のことを指すことが多いです。
サビに強い材料であることから、水回りで使う部品や装置に使われています。
また、SPCCやSS400は、塗装などをして防錆処理をすることがほとんどですが、SUS304の場合は防錆処理は必要ありません。
性能が高い反面、SPCCやSS400と比較すると、値段は高くなります。
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A5052は、Aluminiumの略です。5052という数字は、数あるアルミニウムの種類の識別番号のようなものです。
アルミニウムの密度は、鉄のおよそ1/3ですので、軽いです。一方でヤング率もおよそ1/3となります。
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今回のポイントをまとめますと、以下のとおりとなります。
今回は以上となります。ご一読、ありがとうございました。
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