こんにちは!リヴィです。私は普段、機械設計として仕事をしており、機械設計歴は5年です。
「機械設計の仕事」って、覚えなきゃいけないことが多すぎて大変ですよね。
私も会社に入社した当時は、設計の仕事の能力なんてまったくなく、結構苦労していました・・・
一応大学では機械工学科を出ていて、4力の単位をちゃんととって卒業しだったのですが、いざ会社に入ってみると、知識が不十分なことに気が付きました。
材料力学を例に挙げると、学校のテストで解くのは、あらかじめ前提条件がしっかり決められているような問題で、さらに答えは予め用意されています。
例えば棒の引張りについて、「ヤング率が○MPa、許容応力が○MPaの丸棒の両端に、○Nの引張応力がかかるとき、最小の直径は?」のように、かなりのお膳立てがされていますよね!
ところが実際の設計の仕事では、このような問題が出てくることはほとんどなく、
のようなことが求めことを考えることが求められ、初心者の人はフツーに頭がパンクします笑。
しかも、明確な答えなど存在しません。
私も入社して最初の数年間はこんな感じで上司から問い詰められる日々で、いつもテンパりまくっていました・・・。テンパりすぎて、部屋が涼しいのに体中から変な汗をかいていましたね笑。
また設計の仕事は、対モノの業務だけではなく、お客さんやベンダー、協力会社の人達と技術的な会話といった、対人の業務をしなければならない場面も多々あります。
これらの業務をこなしていくためには、用語を理解したり、図面が読めたり、機械に関する知識・経験の引出しがとても重要になってきます。
でも、ただでさえテンパっているのに、どこから手を付けたら良いのかと、かなり悩みますよね・・・。
そこで今回は、「私が入社したばかりの時に参考になった本」や「入社したばかりの時にこんなのがあったら良かったなぁと思った本」についてご紹介していきます。
この本は、「書類とか周りの人の使っている言葉が、宇宙語にしか聞こえないんだけど!」という人におすすめです。
機械設計の仕事をする人が、絶対に避けて通れないものが「図面を読む」ということです。
それは、製造業に関わる人は、図面を通じてコミュニケーションを取り合うからです。
よくある製図の参考書では、「〇〇という記号は、xxという意味です」という解説をしていることが多いです。
確かにそういった知識は必要なのですが、そんな英単語を丸暗記するような解説では、どこが勘所なのかがわからないし、面白くもないので頭に入っていきませんよね。
ですがこの本では、ところどころ会話形式での解説を交えながら、図をふんだんに使用してわかりやすく解説をしています。
この本では、図面の記号の解説だけではなく、「テーパ」「ボス」「フランジ」「リブ」などの用語の意味もわかりやすく解説しています。「上司があの時の会話で使っていた言葉は、こういう意味だったのか!」と、納得しながら読むことができます。
なおこの本は、2020年7月に第2版が出版されました。
より初心者にわかりやすく工夫されていたり、新JISが反映されてたりしているので、これから購入をする方は第2版を購入するようにしましょう。
みなさん、クックパッドというサイトを使ったことありますよね?
機械設計をする時に、クックパッドを見ながら今日の夜ご飯のメニューを決めるようにして使うのが、この本です。
設計の仕事を始めた当初は、「〇〇の装置を検討してみて」と上司に言われても、何から始めたら良いのかわからず、思考停止しがちです。
というのも、「どういう場合に」「どういう部品を」「どんな風にして」使ったいいのかという、知識・経験の引き出しが少ないため、設計がはかどらないのです。
そんな時、設計の参考にできるような、設計の事例集・アイデア集として使えるのがこの本です。
例えば料理でいうと、スーパーに売っている豚肉を見ても、レシピを知らなければ美味しく食べれません。「カレールーと一緒に煮込むと、カレーができて美味しい」「揚げるとトンカツができて美味しい」「生では食えない」といったような事例が重要ですよね。
また、技術営業のような業務をする人にも、機械の仕組みの辞書のような使い方ができるのでおすすめです。
例えば、お客さんから「こんな感じの機械が欲しい」と言われた時に、「よくわかんないけど、技術の人達に振ればなんとかなるか!」と思っていると、技術の人達がお客さんの求めているものと違うことを検討してしまったり、契約後にモメ事になってしまったりします。
この本を読んで、ある程度の機械の仕組みを理解することで、「お客さんはどんなイメージを持っているのかな?どんな機能・付加価値をつけると喜ぶかな?」といったことを、その場で質疑をしながら深堀りできるようになるので、会社の売上に貢献できるカリスマになることができます。
それぞれの事例についてわかりやすい絵があるので、工学を勉強したことがなくても「あぁ!この部品ってこんなふうにしてよく使われているのか!」と理解しやすいです。
この本は機械設計の人にとっての「バイブル of バイブル」です。
これは大げさな話ではなく、実際に機械設計者の8割以上がこの本を持っています。
機械の部品というのは、その部品単体で完結することは絶対になく、他の部品と組み合わさるかがとても重要です。
部品の中には、ボルト、ベアリング、キーなど、機械でよく使われる部品がいくつかあるのですが、これについてはJISという国家の標準規格でまとめられています。
ただJISそのものは、量が膨大で検索性が悪かったり、おカタい用語や解説が使われていて読みにくかったりします。
そこでなるべく内容をシンプルにして、重要な部分を中心に表などでまとめているのがこの本なのです。
この本は、特に詳細設計のときに、各機械要素の大きさ・寸法を効率よく選定し図面化することができます。
私は当時、「軸の曲げ応力を計算したら、直径23.4mmならOKだったので、軸経は23.4mmにします!」と言ったら、「そんな軸径にハマるベアリングなんてあるわけないやん!宙に浮かせて使う気か?」と怒られました笑。この本を見たら明らかなように、直径23.4mmにぴったりハマる標準のベアリングなんて存在しません。
ただ、シンプルさを重視している分、「この規格そのものは、どんな経緯があって、何を前提として決められたものなのか?」といった詳細なことまでは載っていません。
その場合はJIS本文を読む、といったように使い分けをしてもらったらいいと思います。
JIS本文は、こちらのサイト(日本産業標準調査会)にて読むことができます。
この本は、誰よりもズバ抜けて設計ができる、会社のエースになりたい人におすすめの本です。
私はかつて大企業で設計をしていましたが、その業務内容は、JISに基づいて部品を選定し、力学や規格・カタログの技術資料を見ながら、会社で用意されているエクセルのテンプレを使って計算をし、図面を完成させていくというのがメインとなります。
でも、同期や周りの人よりもズバ抜けた能力を身につけたいなら、それだけではダメです。
それだけしかしていないと、どこにでもいる普通の技術者にしかなれませんし、「日本のものづくりはオワコン」と言われているのは、そういった普通の技術者のことであることが多いです。
そうではなく、周りのみんなを牽引できるような設計のエースになるためには、より広範囲な視点から物事を考えられるようになる必要があります。
そこに役立つのがこの本です。
この本では、どういった場面で、何を考え、そこではどういう知識が必要なのかといった、設計の哲学とも言えることが網羅的に解説されております。
これらを一つ一つ丁寧に理解することで、お客さんのニーズに合わせた付加価値をできたり、新しい会社の主力製品の開発に役立てることができたりすることができます。
この本で述べられているような内容に基づいて会社の会議で発言をしたら「リヴィ君って、うちの役員みたいなこと言うようね」と、当時のプロジェクトマネージャーの立場の人から言われました笑。大企業を出ていくときには多くの上司から「めちゃくちゃ惜しいわ!でも、お前だったらどこでもやっていけるよ!」と言ってもらえ、自分が活躍できていたことを実感することができました。
ここで言いたいのは「オレって大企業でエースだったんだぜ!」という自慢ではなく、設計の最前線で活躍するために必要なのは、より広範囲な視点から物事を考える能力だと言うことです。
ただ、この能力の取得はかなりの時間がかかります。
それは、この能力が身につくのはこの本を読んだ時ではなく、この本の内容をじっくり理解して、それを使えたときだからです。
時間を要するため、エースを目指している人は、能力の有無に関わらずすぐにポチった方がいいです。
ただ、エース育成用の本だけあって、難易度は他の本と比べると難易度は高めですし、値段も高いです。
気軽には手に取れないが故に、手に取った勇者がエースになれるのですが、ちょっとハードルが高いなぁという人は、先程の3冊を優先して購入することをオススメします。
ということで、今回は機械設計の初心者におすすめの本を4冊紹介しました。
今回紹介した本は、一度読んだら本棚の奥にしまっておくものではなく、常にデスクからすぐ手の届く場所に置いておくべき本だと思っていますし、私も実際に置いています。
なお、実際の機械設計の知識はこの4冊だけでは収まりきれないほどの膨大な量の知識が必要となります。
そういう場合は、この4冊に加えて「携わっている業界・プロジェクトに特化した規格」「社内基準」「メーカーカタログの技術資料」などをトッピングするようにしてで参考にしてみてください。
今回は以上となります。ご一読、ありがとうございました。
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