ねじについて、理論的なことや、原理について知りたい。上司の人に相談しても、その人の感覚や勘で決めているみたいで、参考にならない。おすすめの本があったら教えて欲しい。
こんな悩みについて、お話ししていきます。
私は機械メーカーで、かれこれ4年間設計として仕事をしております。
ねじは、機械要素の中で最も使用頻度の高い部品であるのですが、トラブルの頻度が高い部品でもあります。
そのようなトラブルが発生した時の原因究明や対策案について考えるときに、理論的に解説された資料が必要となることがよくあります。
ねじについての簡単な原理や、定性的な内容などについては、グーグルで検索をすればたくさん出てきます。
しかし、例えば計算書として反映させなければならないような「定量的な内容」については、グーグルで調べてもほとんど出てきません。
また、過去に設計された実績を参考にねじ関係の部品の選定を行おうとしても、その根拠がしっかり残っていることは少なく、上司に相談をしても「感覚」や「勘」でねじのサイズや材質を決めていることが多く、参考になりません。
そのため私は、ねじ関係の本を一時期ずっと読み漁っていたことがあります。
そんな本の中から、実際の設計に役立つレベルの本について、今回はご紹介していきます。
ねじに関する基本的な考え方や、定性的な考え方についてはどれも似たような内容です。
しかし、計算に使用する「係数」や「安全率」の部分は、それぞれの著者の経験則的なデータが掲載されております。
余裕がある人は、この中から2冊以上は手元に持っておくことをおすすめします。
著者の山本晃さんは、ずっと大学で研究をされていた方です。
東京工業大学の名誉教授であり、東京電機大学の名誉教授でもある方です。
ねじの理論の話は、独学で勉強しようとすると結構難しいのですが、本書ではわかりやすく解説をしてくれています。
そのため、初心者の人が読めるような、教科書的な感覚で本書を使用するのが良いと思います。
著者の酒井智次さんは、以前、現在のトヨタ自動車で自動車部品の強度や試験、研究、開発をやられていた方だそうです。
また、ねじの軸力測定の装置の開発や、ねじのゆるみに関する研究が評価され、さまざまな功績を残された方です。
現在のトヨタ自動車に入社していたことから、本書に出てくる例題や実例などは、自動車部品に関するものが多く使用されております。
本書は特に、ねじの設計をするような人におすすめです。
ねじに関する計算はどのようにすればよいかについて、目安となる経験的なデータが多く掲載されております。
「経験的なデータ」と聞くと、信頼性が気になるところですが、
著者は現在のトヨタ自動車で勤務をされていたり、ねじに関する研究開発に取り組んでいたので、信頼はできると思います。
ただし、ねじの基礎理論の内容について、一応解説はされているのですが、かなり内容があっさりめなので、初心者の人がに購入する本としてはあまりおすすめしません。
著者の福岡俊道さんは神戸大学で教授をされている、研究者の方です。
グーグルで調べると、著者の書いた論文がいくつかヒットします。
前の2冊と異なるのは、数値解析(有限要素法)を用いてねじを評価しているという点です。
基礎的な理論については山本晃さんの本で十分です。
しかし、より正確でより複雑な問題を取り扱う場合であったり、また解析の観点からどのように評価をすれば良いかを参考にする場合は、本書が役に立つと思います。
本書が出版されたのは2015年ですので、ねじに関する本の中では比較的新しい本です。
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