【解説】締め付けトルクと軸力の関係式の導出(3)

ねじ

前回、ネジ部の断面が四角形で売る「四角ネジ」の場合について、力の関係式を説明しました。

四角ネジでは、高校物理でよくある問題に置き換えることで、力の関係式を導くことができました。

この関係式を一部流用しつつ、今回は、一般的に使われている三角ネジの力の関係についてお話しします。

三角ネジとはどんなネジか?

「三角ネジとは何か?」についてグーグルで調べてみると、

「ねじ断面が正三角形に近い形状となっているねじ」と書かれていることがあります。

では、ここでいう「ねじ断面」とはどのような面でしょうか?

それは、ボルトの中心軸を含む断面のことです。
この断面で見た時に、ネジ山が正三角形、つまりネジ山の角度が60°になっているということになります。

計算をする上では、「x軸に対する角度」としたほうが扱いやすいので、ネジ山の半角30°を、記号αとして使います。

しかし、ネジ部の摩擦力について考える時には、この断面で考えてはいけません。

なぜなら、ネジ面はリード角分だけ傾いてるからです。そのため、以下の断面で考えなければなりません。

この断面で見ると、ネジ山の角度は断面A-Aと同じにはなりません。そのため、断面B-Bで見た時のネジ山の半角をα’とおきます。

αとα’の関係の話については、とりあえず保留にして、力の関係について話を進めていきます。

三角ネジの力の関係式

軸力が発生している三角ネジのボルトに締め付けトルクをかけて、ボルトをさらに締めることを考えます。

まず軸力について考えていきます。

ボルトを正面から見た絵で考えますと、ネジの斜面方向、およびそれと垂直方向の力に置き換えますと、四角ネジと同じく以下のようになります。

ネジの斜面方向の力Fasinβは、四角ネジの場合と同じとなります。

ただしこの中で、四角ネジの摩擦力の計算に使用したFacosβは、三角ネジではネジ面に対して垂直ではありません。
そのため、このFacosβを利用して、ネジ面に対する垂直抗力を求める必要があります。
次に、先ほど説明した断面B-Bで力の関係を見てみますと、下の図のようになります。
ベクトルの分解の向きに注意してください。

続いて、ネジの接線力についても同様に考えていきます。
ネジの斜面方向の力は以下のとおりです。

続いて断面B-Bで見た時の垂直抗力について考えると以下のとおりとなります。

よって、力の関係式は以下のとおりとなります。

$$\begin{align}
&F_s cos\beta>F_a sin\beta+\mu_s(F_a \frac{cos\beta}{cos\alpha’}+F_s\frac{ sin\beta}{cos\alpha’})\cdots(1)\\
\end{align}$$

ここで摩擦係数を以下のように置き換えます。

$$\mu_s’=\frac{\mu_s}{cos\alpha’}\cdots(2)$$

そして、(2)式の摩擦係数を、摩擦角で表記し直します。

$$\mu_s’=tan\rho’\cdots(3)$$

(2)(3)式を、(1)式に代入し、前回と同様に式を整理していきますと、下のようになります。

$$F_s>F_atan(\rho’+\beta)$$

ちなみに、ボルトを緩めるために必要な条件は、以下の通りです。

$$F_s>F_atan(\rho’-\beta)$$

【補足】三角ネジの摩擦係数について

(2)式で示されている、三角ネジの摩擦係数について考えてみましょう。

$$\mu_s’=\frac{\mu_s}{cos\alpha’}\cdots(2)$$

これは、四角ネジの摩擦係数をcosα’で割った値に相当するという意味です。

ここでcosα’は0から1までの範囲しか値を持ちません。

そのため、三角ネジの摩擦係数は、四角ネジの摩擦係数よりも大きくなります。

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