演習問題 06【ねじり問題】

材料力学 更新:
演習

問題

問1

壁に固定された丸棒に、ねじり荷重を加えます。

このとき、丸棒に発生するねじり応力の最大値を求めてください。

ここで、TB=3 N・m、TC=4 N・m、L1=300 mm、L2=400 mmとします。

また丸棒はd=30 mmの中実軸とし、極断面係数は以下の式で計算できるとします。

$$Z_p=\frac{\pi d^3}{16}$$

答え

問2

壁に固定された丸棒に、ねじり荷重を加えます。

このとき、A・Cに発生するねじり荷重TA、TCを求めてください。

答え

答え

問1

ねじり荷重の問題に限らず、材料力学の問題を解く上での基本は、以下の3ステップです。

  1. 荷重の釣り合いを考える。
  2. 仮想的に切り離す。
  3. 内力を求める。

まずは釣り合いの式を立てます。

壁に固定されておりますので、丸棒は壁から反力を受けます。壁から受ける反力をTAとしてモデルを書き直すと、下記のとおりとなります。

$$\begin{align}
&T_A-T_B-T_C=0\\
&T_A=T_B+T_C\cdots(1-1)
\end{align}$$

では続いて、丸棒を仮想的に切り離し、内力を求めていきます。

まずはAB間で仮想的に切り離し、方程式を立てます。

$$\begin{align}
&T_A-T=0\\
&T=T_A=T_B+T_C\cdots(1-2)
\end{align}$$

よって、AB間で発生するねじり応力の最大値は、

$$\begin{align}
\tau_{AB}&=\frac{T}{Z_P}\\
&=\frac{16(T_B+T_C)}{\pi d^3}\cdots(1-3)
\end{align}$$

ポイント

$$\tau=\frac{T}{Z_p}$$

τ ねじり応力
T トルク
Zp 極断面係数

続いて、BC間で仮想的に切り離して考えてみます。

$$\begin{align}
&T_A-T_B-T=0\\
T&=T_A-T_B\\
&=T_B+T_C-T_B\\
&=T_C\cdots(1-4)
\end{align}$$

よって、BC間で発生するねじり応力の最大値は、

$$\begin{align}
\tau_{BC}&=\frac{T}{Z_P}\\
&=\frac{16T_C}{\pi d^3}\cdots(1-5)
\end{align}$$

ここで、(1-3)式と(1-5)式を比べてみますと、どの数値も正の値なので、区間ABで発生するτABの方が値が大きいことがわかります。

そして、τABの各文字部に、それぞれ値を代入して計算をします。

$$\begin{align}
\tau_{AB}&=\frac{16(T_B+T_C)}{\pi d^3}\\
&=\frac{16(3Nm+4Nm)\times10^3}{\pi (30mm)^3}\\
&\simeq 1.32 N/mm^2
\end{align}$$

これが答えです。

問2

まずは基本に忠実に、釣り合いの式を立てていきます。

棒は壁から反力を受けるため、Aで受ける反力をTA、Cで受ける反力をTCとすると、釣り合いの式は以下のとおりとなります。

$$T_A+T_B+T_C=0\cdots(2-1)$$

しかし、(2-1)式には未知数(TA、TC)が2つに対して、式が1つしかなく、このままでは問題を解くことができません。

つまり、この問題は不静定問題です。

不静定問題はどのように解くか?

それは、変形量に着目をして、もう一つの式を立てます。

ねじり荷重の問題における変形量とは、ねじれ角φです。

もし壁Cがなければ、φABのねじれが発生する。
もし壁Aがなければ、φBCのねじれが発生する。

しかし、棒の両端が壁に拘束されていることから、以下の式が成り立ちます。

$$\phi_{AB}+\phi_{BC}=0\cdots(2-2)$$

ここで、ねじれ角とひずみの関係を使うと、(2-2)式は以下のようになります。

$$\frac{L_1}{r}\gamma_{AB}+\frac{L_2}{r}\gamma_{BC}=0 \cdots(2-3)$$

ポイント

$$\gamma=r\frac{\phi}{L}$$

γ ねじりひずみ
r 棒材の半径
φ ねじり角
L 棒の長さ

続いて、フックの法則を使うと(2-3)式は以下のようになります。

$$\frac{L_1}{\tau_{AB}G}+\frac{L_2}{\tau_{BC}G}=0\\
\frac{L_1}{\tau_{AB}}+\frac{L_2}{\tau_{BC}}=0\cdots(2-4)$$

ポイント

$$\tau=G\gamma$$

τ ねじり応力
G 横弾性係数
γ ねじりひずみ

そして、ねじり荷重とねじり応力との関係より、(2-4)式は以下のようになります。

$$\frac{L_{1}Z_p}{T_{A}}+\frac{L_{2}Z_p}{T_{C}}=0\\
\dfrac{L_{1}}{T_{A}}+\frac{L_{2}}{T_{C}}=0\cdots(2-5)$$

ポイント

$$\tau=\frac{T}{Z_P}$$

τ ねじり応力
T トルク
Zp 極断面係数

これで2つめの式ができました。よって、(2-1)式と(2-5)式を解くことで、答えを求めることができます。

$$\begin{align}
\begin{cases}
T_A+T_B+T_C=0\cdots(2-1)\\
\dfrac{L_{1}}{T_{A}}+\dfrac{L_{2}}{T_{C}}=0\cdots(2-5)
\end{cases}\\
T_A=T_B\frac{L_1}{L_2-L_1}\\
T_C=-T_B\frac{L_2}{L_2-L_1}
\end{align}$$

これが答えとなります。


ものづくりのススメでは、機械設計の業務委託も承っております。
ご相談は無料ですので、以下のリンクからお気軽にお問い合わせください。

機械設計の無料見積もり

機械設計のご依頼も承っております。こちらからお気軽にご相談ください。

構想設計 / 基本設計 / 詳細設計 / 3Dモデル / 図面 / etc...

ものづくりのススメ
りびぃ

この記事を書いた人

機械設計エンジニア: りびぃ

ねじりの応力の導出を解説

【まとめ】材料力学の応力の計算方法のロードマップ

console.log("postID: 1709");console.log("カウント: 7388");