部品を固定する際に、ドライバーやレンチを使ってネジを締めていくと思いますが、そのときの注意点についてお話しします。

意外と知らない人が多いのですが、結論から言いますと、
締め方が緩すぎても、締めすぎても、ネジはみます。
これの理由について、
- ネジ締付け時の原理
- ネジが緩すぎるときの状態
- ネジを締めすぎたときの状態
の順で説明いたします。
ネジ締付け時の原理
ネジの、以下の部分を「頭」といいます。

ネジを締めていくと、母材にどんどん入り込んでいきますが、
このネジの「頭」が、母材に接することによって、ネジ本来の締付け力が発揮されるのです。

ネジの締付け力の本質は「摩擦力」です。
摩擦力は「摩擦係数」と「垂直抗力」とで決まります。

「摩擦係数」は母材の状態によって決まるものですが、
ネジが母材を固定しているときの、ネジが母材から受ける「垂直抗力」は、皆さんのネジの締め方によって変わります。
なので、ネジは「入っていればよい」のではなく「適切に締める」ことが大切となります。
ネジが緩すぎるときの状態
ネジが緩すぎると、「ネジの頭が、母材に加える力」が弱くなりますので、「垂直抗力」も低下します。
すると、ネジの摩擦力が低いため、地震などの振動によって、簡単に緩んでしまいます。

また、ネジの頭が母材に接していないと、
「緩みが進行してネジが脱落(回転緩み)」したり、
「母材の重量をネジ部のみで支えることになり、ネジが破断」するなどの不具合が生じます。
ネジを締めすぎたときの状態
ネジを締めれば締めるほど「垂直抗力」が増加して、ガチガチに固定され、ネジが緩むことがなくなると思われがちですが、そのようにはなりません。
締めれば締めるほど強く固定がされるのは、
「母材がへたらない」という前提があるときに成立する話です。
どんな母材も、力を加えすぎるとヘタった、最悪は割れたりします。
母材がヘタると、ネジの頭と母材との間に隙間ができるので、「垂直抗力」が低下します。
これにより、もともとネジが緩い状態と同じ状態になってしまうのです。

DIYでは、木材を使用することがしばしばあると思いますが、
ネジを締めていったときに、ネジの頭の部分で「メリメリ」という音が鳴ったら、完全に締めすぎの状態です。
ネジの締め方には、こういったコツがいるのです。
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