ネジ同士はどの程度の長さ掛かっていればよいか?

ねじ

私が設計者として仕事を始めたばかりのとき、
図面を書く上で議論になったことがありました。
それは「ネジの掛かり代」です。

ネジの掛かり代とは、おねじとめねじとがかみ合っている長さのことを指します。

ナットを使用する場合は、日本の規格でナットの高さが決まっているため、
あまり悩まずに「ナットのネジ部すべてにおねじがかかるように」ネジの長さを決定すれば良いと思います。

ではプレートにめねじを切った場合や、バーリングタップ加工の場合はどうでしょう。

ナットの高さを参考にして、ナットと同程度掛かっていればOKとしても良いですが、
掛かり代を少なくすることで、めねじを切ったプレートの板厚を少なくすることができます。
すると、以下のようなメリットが生まれます。

  • 軽量化
  • 材料費の低下

これらのメリットは、製品の品質を高め、コストを下げるのに大きく貢献します。

では、いったい板厚はどの程度まで下げられるのでしょうか?
実はどの技術資料も経験的なだいたいの目安をそれぞれ使用しているが実態です。

学術的に掛かり代が説明された資料や論文を、私は見たことがありません。(知っている方がいれば、ツイッターなどで教えてください)

そこで今回は、私が普段、だいたい目安として独自に使用しているものについてお話しします。

ただ、今回お話しする目安は、信頼性のある根拠があるわけではありません。

こんなこというと、この記事の価値がないように思えますが、
実績をいうと、4年間この目安を採用したことによって、ネジの掛かり代について失敗をしたことはありません。

ネジのサイズとピッチとの関係

ネジは、サイズによってピッチ(隣り合うネジの山同士の距離)が異なります。


よく使うネジのサイズとそのピッチの関係を下に示します。※並目ねじの規格です。

ねじの呼びピッチ [mm]ナットの高さ [mm]
M30.502.4
M40.703.2
M50.804.0
M61.005.0
M81.256.5
M101.508.0
M121.7510.0
M142.0011.0
M162.0013.0
M182.5015.0
M202.5016.0

このように、サイズによってネジのピッチが異なるため、
たとえば3ミリの板にめねじを加工するにも、

M3では多くのネジ山同士が噛み合いますが、
M12ネジでは少ししか噛み合いません。

そこで、ネジの掛かり代を議論するには、
「掛かっている長さ」ではなく、
「掛かっているネジ山の数」で、
議論をすることが多いです。

一山分=ピッチであることから、先ほどの例でいうと、3ミリの板に対して、

M3ネジでは3ミリ÷0.5ミリ = 6山分
M12ねじでは3ミリ÷1.75ミリ=約1.7山分

となります。

軽量物の固定(2~3kgぐらい)

薄板でできたカバーなど、軽量物を固定する場合では、
最低掛かり代が最低3山分あれば大丈夫です。

ただし、以下の場合は3山では不十分です。

  • 衝撃がかかる場合(ネジ山がなめてしまう可能性あり)
  • 振動がかかる場合(ネジがすぐ緩んでしまう可能性あり)

ちなみに、母材がアルミの場合は、必ずEサート(ヘリサート)を入れましょう。

そこそこ重いもの・ベース(~5kg程度)

そこそこ重いものや、ベース(部品の土台の役割をする部品)の固定については、5山~6山分ぐらいの掛かりが目安にしています。

先ほどの表に示した通り、一般的に使われるナット(1種・2種)の高さが、だいたい5山~6山分ぐらいです。

かなり重いものや、大きな負荷がかかるもの

掛かりしろ自体は5山~6山分ぐらいで良いですが、ボルトの数は増やすべきです。

また、重量がかなりあるもの・大きな負荷がかかるものは、
壊れると損害が非常に大きい部品であることが多いので、
製作をする前にしっかりと解析や強度試験をした方がよいです。

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