【機械設計者向け】就職活動と転職活動の5つの違い

キャリア

最近、転職して別の環境で機械設計の仕事をやろうかと考えています。でも、転職ってしたことないから、すんなりと上手くいくものかどうかがわかりません。転職活動ってどんな特徴があるのかについて教えて下さい。

このような疑問・悩みについて、お答えしていきます。

私は普段、機械設計の仕事をしております。

慶應義塾大学を大学院まで通い、新卒一括採用で大企業に就職したのですが、つい先日、ベンチャー企業へ転職をしました。はじめての転職でしたが、結果的に自分なりに納得のいく選択をすることができました。

私は転職活動をし始めたばかりのときには、「高学歴だし、大企業出身だから、やろうと思ったら一瞬でラクラク決まるやー!」って思っていました。

ところが、実際に転職活動をしてみると、転職という大きな決断をするためには、なかなか苦労をした部分というものがありました。

リヴィ

中国にGDPが抜かれたあたりから、「日本のものづくりはオワコン」「日本の大企業はオワコン」とかって言われてましたし、YouTubeでも「転職しよう!」と気軽に言っている人が多くいます。ただ、言うのは簡単でも、やるのは大変でした笑。

周りの人から話を聞いていると、だいたい30歳前後で「このままの仕事を続けて大丈夫かな」と考えているみたいです。

ただ、転職経験者が周りに少なく「転職ってどういうものかがわからないから、なかなか行動に移せない。」「だから結局居酒屋で愚痴を言うだけで、何も変えることとができない。」という人も多いと思います。

そこで、今回は転職経験者の私が、機械設計者にとっての就職活動と転職活動の5つの違いについて解説をしていきたいと思います。

この記事を読み、転職活動の特徴を理解することで、私のように転職を考えている人が転職活動をする上で戸惑うことがないようにしてもらえたらいいなと思います。

ただし、この記事では「家庭を持っているかどうか」とか「年収がどうか」という個々人の事情は可能な限り省き、機械設計者が転職するならほとんどの人が直面する内容に焦点を当てることとします。

相手の会社を知る機会が少ない

就職活動では、就活生=VIP

今思うと、就職活動をしていたときには、企業からかなりチヤホヤされていました。

就職活動のときは、まず「合同説明会」がありました。学生は大きな会場に足を運んで様々な企業の説明を聞きながら業界・業種を絞って言ったかと思います。

リヴィ

慶應では、一度は名前を聞いたことがあるような数々の大企業が大学へ訪問し、積極的にPR活動をしていました。そのため、学生側の負担は少なかったです。さらに場合よっては、企業がその晩に懇談会という名目で飲み会に招待され、社員さんたちとテーブルを囲んでたくさん話しをすることができました。今思うと、かなりVIP扱いされておりましたね。

さらにその後、会社独自の説明会が行われ、より深い説明や質疑応答、実際に業務の最前線で働いている社員さんとの懇談会などの機会が設けられました。

機械メーカーの場合だと、工場見学が開かれることも多く、実際の生産設備や製作中の製品などを見学することもできました。

リヴィ

この説明会や工場見学は、全国の学生から抽選・先着で選ばれた人が参加できるものもありましたが、中には慶應生しか参加できないものもありました。めちゃくちゃ優遇されいるように見えますが、裏を返せば「慶應生の中での競争」がこのあたりから始まることになります。

さらにさらに、企業によってはインターンも実施しており、ある期間だけ職場の業務を体験することができました

そのインターンで気に入られて、企業とのコネができると、就職活動の選考ではかなり優遇されたりもしていました。

以上を踏まえ、会社の雰囲気(オフィスや従業員の性格)や、最近力を入れている事業、企業が持っている生産設備、福利厚生等を把握し、自分がやりたいこと、達成したいことと十分に擦り合わせをした上で、応募をすることができました。

転職活動は、いきない応募するかどうか

一方で、転職活動では、応募前に説明会とか工場見学とかがありません

私は転職活動のはじめの頃、「JACリクルートメント」「マイナビエージェント」「DODA」の3つを同時に登録していましたが、その転職エージェントでも、企業開催の説明会や工場見学などはやっていませんでした。

転職エージェントでは、最初にエージェントとの面談があり、どういった業種や職種にするかを絞り込みます。

それが終わるとエージェントさんがいくつかの企業の募集要項を提示してくれますが、いきなり「応募しますか?しませんか?」といった感じでした。

事業の概要とか、勤務地とか、年収ぐらいしか書いておらず、自分が働きたいと思うような職場環境なのかどうかはわかりませんでした。

エージェントさんも、その企業の社員ではないので、深い内容までは答えることができません。

リヴィ

思わず、「あれ?あの時のVIP扱いはどこいった!?」なんて叫びたくなるような気持ちになりました笑。

エージェントさんは「そこまで重く考えず、気軽に応募してみてもいいと思います。」とは言ってくれてます。

たしかに言われているとおり、転職をするなら、応募しない限り前進はしないのですが、私は家族を養っているので、絶対に転職で失敗したくありませんでした。

そのため、その場ではさすがに決めることができず、

「一度持ち帰って検討させてください・・・」

と言って帰る事になりました。

ただ、そんなことを言ったとしても、どの転職エージェントもしつこく営業してくることはなく、「いつでも相談しに来てください」と言ってくれたので、良かったです。

時間がない

就職活動は、時間はたっぷりある

就職活動では、就活中も激務を強いるような研究室に所属してたり、単位の取りこぼしが多数あるようなことがない限りは、時間がたっぷりありました

平日はゼミや研究室の活動のペースを抑えて、一日のほとんどの時間を使って、自分の将来について考えることができました。

就職先の選択肢はめちゃくちゃ多く、最初はどのように絞り込んでいったらいいかを悩みますが、

時間はたっぷりあるので「考えては白紙に戻して。また考えては白紙に戻して。」を繰り返しながら、じっくり自分と向き合うことができました

リヴィ

当時私はビジネス書をよく読んでおり、それを読んだ上でさらに考えることもしていましたね。今ならビジネス系YouTuberの動画を見るなど、お手軽にインプットをすることができますね。

転職活動は、意識して時間を作る必要がある

仕事をしながら転職活動をしようとすると、普段の仕事のスキマ時間で行う必要があります

基本的には定時退社を心がけ、退社後にはあまり予定を入れず、土日も使って取り組むぐらいの意識がないと、とてもじゃないですが時間が足りなかったです。

やろうと思えば転職活動を一旦やめるのもありかとは思いますが、私はもうすぐ30歳で、転職活動における一つのボーダーラインの直前にいたので、なんとしてでも20代のうちに転職を決めておきたかったのです。

そういった事情もあり、そもそも休んでいる時間がほとんどないですし、仕事と転職活動との気持ちの切り替えやストレスの発散も難しかったです。

リヴィ

私は携わっているプロジェクトが終わるタイミングで転職をしようと計画していました。ところが、転職面接の前後の時期は、仕事が納期直前でめちゃくちゃ忙しく、体力的にもモチベーション的にも一番しんどかったです。

周りに相談がしにくい

就職活動は、みんなと相談しながらできる

就職活動では、「どこの会社を受けているか」「将来、どういう仕事をしようとしているのか」といった、「キャリアプラン」や「自分の夢」について、周りの友人などとざっくばらんに話をすることができました

私の場合は研究室の同期5〜6人で、企業へ提出する予定の志望動機や自己分析を、お互いに赤ペンチェックをし合ったりしていました。

それを見て、自分の考えや理想がまだまだ欠陥だらけであることに気づくことができ、より就職についての考えを深堀りすることができました。

また、周りの人と一緒に頑張っている感じがあったので、モチベーションを保ちつつ活動をすることができました。

リヴィ

私は同期の中で最も劣等生であったため、私の志望動機や自己分析はいつも、本文よりも赤ペンのコメントの方が多いぐらいに真っ赤でした笑。

転職活動は孤独の戦い

転職活動ではガラッと変わり、周りの友人などに頼ることがあまりできず、孤独な戦いでした

その理由は、転職活動をしている際に読んでいた「転職の思考法」という本の話からでした。

この本ではストーリー仕立てで、転職をする際の考え方やするべき行動について教えてくれるのですが、その中でこんなストーリーがありました。

会社の営業職である主人公の青野は、自分の会社の経営が悪化していることや、働いている業界が衰退する見込みがあることから、転職しようかと悩んでいます。

あるとき、同じ会社の先輩である上山さんに誘われた飲み会で、ついポロッと転職について考えていることを言ってしまいます。

そのときには上山さんは「俺もあと10年若かったら転職してただろうな。」といい、その日の飲み会は終わります。

ところがあるとき、青野は「子会社への出向リスト」に名前を載せられることになります。

「子会社への出向リスト」は営業成績が悪い社員が掲載されるものですが、主人公はしっかり営業成績を残しています。

青野は何かおかしいと思い、上山さんを問い詰めると、上山さんは部長にチクっていたことがわかります。すると上山さんは

「お前には感謝している。(中略)でもお前がこんなタイミングでヘマしてくれたから正直助かった。転職は裏切り者のすることだからな。」

と言います。

これを読んで私は「同僚だろうが、信頼できる先輩・後輩だろうが、転職が決まるまでは絶対に相談してはいけない!」と心に誓っていました。

さらに、飲み会に行ってしまうと青野のように「ついポロッ」と言ってしまう恐れがあったため、基本的に飲み会は断っていました。

仮に行ったとしてもあまりお酒は飲まず、人の話をじっと聞いているだけというのを徹底していました。

リヴィ

コロナ等の影響もあり、私は半年間転職活動をしていましたが、その間、言いたいことや相談したいことをグッと我慢するのはかなりツラかったです。その間、モチベーションが下がってしまったことも何度かありました。

ちなみに、「転職の思考法」は他にもたくさん重要なことが、めちゃくちゃわかりやすく書かれており、私自身、転職活動をする際にかなり参考にした本のひとつです。

よろしければ是非読んでみてください。

自己PRが難しい

就職活動は将来性

就職活動では将来性、つまり「今は能力がなくても、数年後には会社の利益に貢献してくれそうな人材かどうか」を見られます。

機械設計として就職をしようとする場合、多くの企業の募集要項になっている「4年生大学卒業見込みの者」かつ「機械工学系」が満たされていればOKです。

その上で「募集をしようと思ったきっかけ」や「自分のやりたいこと、理想」などを語り、うまく採用担当者に気に入られれば内定を取ることができます。

仮に根拠のない自信などを言ったとしても、相手の採用担当の人はある程度話を聞いてくれました。

特に機械工学系は、就活に有利だと言われています

今の世の中、「機械」は日常にも溢れており、これからも需要が高まっているからです。

リヴィ

「特にやりたいことがないけど、就職で苦労したくないから」という理由だけで機械工学科に来た人もいましたね。最近では、機械工学科ではなくても、プログラミングができるようになっていると、就活そのもので苦労しにくいかもしれません。

転職活動は即戦力

一方で転職活動の場合は即戦力、つまり「入社後すぐに役に立つレベルかどうか」が見られます。

企業の募集要項を見てみても、就活とはガラッと変わり、「〇〇の設計経験○年以上」「〇〇系のプロジェクト経験」などがほとんどでした。

その上で、選考では即戦力があることを応募先にアピールするのですが、

「その経験さえあればいい」のではなく「その仕事ができる能力」をアピールする必要がありました。

機械設計以外の業種だと、例えば有力な資格を持っていれば、採用担当者はおおよそどの程度のレベルを判断することができる業種もあります。

有力な資格がない場合でも、営業などの職種のように「年間〇〇円の売上に貢献しました」とか「〇〇ヶ月連続で売上目標を達成しました」といった感じに、実績を数字で表すことができると強力です。

ところが、機械設計の場合は、どちらのアピール方法も難しいかったです。

そもそも機械設計には資格が不要であり、誰でもなることができます

極端な話、まったく経験がゼロだとしても、機械設計者と名乗ることができます

一応、「技術士」という国家資格はありますが、その実態は「設計者用の資格」というよりは「技術コンサルタント用の資格」です。また、「機械設計技術者」というのもありますが、そもそも公的な資格ではありません。

リヴィ

これらの資格自体を否定しているわけではないです。ただ、機械設計者として転職をする際には、これらの資格があってもなくても、あまり変わらないということです。

さらに機械設計は、数字で示せるような実績もあまりありません。

例えば、経験したプロジェクトの、金額規模、期間、チームの人数などを言うことはできても、それは「能力」を示したことにはなりません。

機械設計者にとっての「実績」とは?

機械設計の仕事のメインは「装置や部品の構造・仕組みを考えて図面を作ること」です。

ですが、考えただけでは「実績」とは呼べません

機械設計の業界では「三現主義(現場・現物・現実)」を大事にしている人が多いように、頭の中ではいくら「大丈夫だ!」と思っていても、実際にものを作ってみると以下のような問題はよく起こります。

  • 部品のたわみが大きくて使い物にならない
  • 製作、組立誤差が想定以上で、上手く取り付けられない
  • 工具が周辺の部品と干渉し、ボルト、ナットを締められない
  • 熱がこもっており、温度が上がりすぎている
  • 疲労破壊した などなど

これらを未然に防いだり、なんとか対策したりして、問題を乗り越えてこそ、はじめて「実績」といえるのです。

リヴィ

私は携わっていたプロジェクトが終了する前に転職活動をしていたため、明確な実績を表現することができませんでした。長期にわたる大規模プロジェクトに関わっている人ほど、これに陥りやすいと思います。

ちなみに私が実施した転職方法は「JAC Recruitment」という転職エージェントを活用した方法でした。

私の担当者の人はとてもいい人で「募集先の企業へは、過去どのような人が、どのようにPRして内定を取ったか」について教えてくれたり、募集先の企業へ私のことをPRしてくれたりしてもらえました。

無料にも関わらず、めちゃくちゃ手厚いサポートでとても心強かったです

リヴィ

私の転職活動中は完全にコロナ禍でしたが、応募先の企業との面接をZoomで行うよう交渉してくれたりもしてくれました。

現職の業務内容と似た募集が多い

就職活動は、志望動機と自己PRが大事

就職活動はポテンシャル採用であるため、選考の際は「私が入社後にやりたいこと、及びその理由」の方がウエイトが大きかったです。

そのため、その気になれば、自動車メーカに行くこともできるし、ロボットメーカに行くこともできるし、半導体装置メーカに行くこともできます。

ある意味でやりたい放題だった感じでした。

実際に私が就活をしていたときには、自動車メーカ、自動車部品メーカ、重工メーカ、プラントメーカ、鉄道会社、JAL・ANAなどを受けていましたが、書類選考の段階で落とされることは、あまりありませんでした。

リヴィ

企業によってはSPIのテストや、適性検査の結果を重視するところもありますけどね。

転職活動は、自分の経験と業務内容とがマッチしているか

転職活動が即戦力採用であるため、「私が何を経験したか、何ができるか」の方がウエイトが大きかったです。

そのため、経験した業務・できる業務と、企業側のニーズとがマッチしているほど転職活動は上手く進みます

私の経験をいうと、私は工場の自動化設備の機械設計をメインにやっていました。

転職エージェントでの面談が一通り終わり、転職の応募を見ると「自社工場の設備自動化の計画・検討」というものが、応募があった企業全体の約95%ぐらいを占めていました。

特に工場自動化のプロジェクトは、需要がものすごく高く、転職エージェントでの面談でも「あなたのような自動化装置の設計の経験を持った人材は、今すぐにでも来てほしいと思っている企業は山ほどいます」と言わていました。

一方で、自分が経験していないような分野への挑戦はなかなか難しいと感じました

応募全体の5%程度は、「自社工場の設備自動化の計画・検討」以外のものでした。

応募の内容は、現職とまったく同じではないものの、基礎となる部分の考え方は共通していましたし、新しいことにチャレンジするのもアリだと考え、2社応募することとしました。

ところが、2社応募して2社とも書類で落ちてしまいました。

リヴィ

考えてみれば、いくら「機械設計ができます!」と言いつつも、自動車とバイクと航空機の機械設計は全くの別物ですし、さらに自動車の中でもエンジンとシャシーとタイヤの設計は全くの別物ですからね。

「軸ずらし転職」は難しい

実は転職活動をしはじめたばかりのときに、「転職と副業のかけ算 生涯年収を最大化する生き方」という本を読み、その中で提案されていた「軸ずらし転職」という方法を真似て転職活動をしようと考えていました。(失敗したくなかったので、本はそこそこ読んでいました笑)。

「軸ずらし転職」とは、業種または業界のどちらかは現職と同じのまま、もう一方を変えるという転職が、年収を上げやすいというものです。

ところが、実際は先程申し上げたとおり。

私は決して、「この本の言っていることが間違っている!」ということを言いたいのではないです。そもそも試行回数が2回しかないので。

ですが、そもそも転職の書類選考は「履歴書」と「職務経歴書」の内容で判断される一方、志望動機等を書く欄は存在しません。

どちらの書類も「自分がなにができるか、何を経験したか」を記述するのに特化した書類であり、その結果の落選でした。

そのため、「機械設計のような専門性が高い業種の場合、軸ずらし転職が難しいのでは?」と感じたのです。

以下のブログでも、機械設計の転職環境は厳しいことが述べられております。

機械系エンジニアへ転職は難しい?未経験は大丈夫?気になる年収も紹介! | すべらない転職
自動車業界を中心に、各種メーカーで非常にニーズの高い機械系エンジニア。高待遇の海外求人も出てきています。そこで今回は、機械系エンジニアの転職について難易度や未経験でも転職できるか、年収などについて紹介します!

まとめ

今回のポイントについてまとめると、以下の通りとなります。

  • 転職活動では、就職活動のときのようなVIP扱いはない
  • 転職活動では、かなり意識して時間を作らないとなかなか進まない
  • 転職活動では、周りに公言しないように気をつける必要がある
  • 機械設計は能力のPRが難しいので、転職エージェントを上手く活用したほうがいい
  • 機械設計のような専門性が高い仕事は、軸ずらし転職は難しい

機械設計である私が、転職活動について総括すると「転職活動は、言うの易し行うは難し」でした。

それでも、勇気を出し、「自分の人生を豊かにするんだ!」という強い信念があれば、達成できると思います。

この記事を読んでいる皆さんの社会人生活も、充実して豊かであればいいなと思います。

今回は以上となります。ご一読ありがとうございました。

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